→紀伊國屋書店で購入 「静かな、スポーツ・ノンフィクション」 先日、箕島高校野球部の元監督、尾藤公氏が亡くなった。おそらく、私のようなアラフォー世代以上の和歌山県出身者にとって、「箕島」という言葉は、ただの校名以上の意味を持っている。それは思い出を喚起する、スイッチのようなものだ。 1979年の甲子園、箕島に絶体絶命のピンチが訪れるたびに、私は子供心に挽回を祈ったものだ。そしてその祈りは “ことごとく” 叶えられ、箕島高校は春夏連覇を果たした。どんなピンチでも祈ればなんとかなるんじゃないか、なんて甘い考えが私の頭に刷り込まれたのは、あの夏の箕島のせいかもしれない。なんてね。 甲子園で繰り広げられた数ある名勝負の中でも、「神様が創った試合」「最高試合」と呼ばれているのが、1979年夏の箕島×星稜戦だ。延長戦、ナイター、目を疑うような名手のエラー、隠し球、落球、2アウトランナーなしから起死回生