日本文化を「フジヤマ、ゲイシャ」のようなステレオタイプなイメージで視覚化する習慣は、グローバル化が進んだいまなお根深い。また、これらの図像とともに用いられる独特のディスプレイ書体は、日本や他のアジア諸国の料理や物産を扱う店の看板やエンタテインメントの現場で、オリエンタリズムを表象する記号として運用され続けている。ステレオタイプな文化イメージの再生産を行う、この系統の書体の起源とは? オリエンタリズムと書体 海外で「日本」を視覚的に表現する際、登場率がもっとも高いモチーフはいまだに富士山と芸妓ではないだろうか。近年では漫画がその一要素に加わったが、こういった視覚表象をデザインに用いることで「日本」を表現する方法は、常にオリエンタリズムと切り離せない。日本の浮世絵・工芸が19世紀の西洋近代美術に与えた影響を専門にするドイツのクラウディア・デランク(Claudia Delank)は、これを「フジ