オピニオン トランプ米大統領のパリ協定離脱演説を考える(松下和夫 氏 / 京都大学名誉教授 地球環境戦略研究機関シニアフェロー) 2017.06.14 松下和夫 氏 / 京都大学名誉教授 地球環境戦略研究機関シニアフェロー はじめに〜パリ協定は世界が化石燃料依存文明からの脱却目指した 米国のトランプ大統領は去る6月1日、気候変動に関するパリ協定から離脱する演説を行った。本稿ではその演説の意味や影響を改めて考えてみる。 パリ協定は気候変動抑止への世界を挙げての取り組みを目指し、温室効果ガスの排出抑制など2020年以降の各国の取り組みを決めた国際的ルールである。2015年12月に採択され、16年11月4日に発効した。現在147カ国・地域が締結している。この協定では世界全体として、(1)産業革命前からの地球の気温上昇を2℃より十分低く保ち、1.5℃以下に抑える努力をすること、(2)そのために、温