東京電力福島第一原発事故に伴う除染をめぐり、環境省が放射性物質汚染対処特措法に基づき今年二月までに東電に支払いを求めた除染費用百四十九億円のうち、東電が百五億五千万円分の支払いに応じていないことが二十二日、分かった。
東京電力福島第一原発事故に伴う除染をめぐり、環境省が放射性物質汚染対処特措法に基づき今年二月までに東電に支払いを求めた除染費用百四十九億円のうち、東電が百五億五千万円分の支払いに応じていないことが二十二日、分かった。
いかなる組織であれ、リーダーには責任がつきまとう。だが、時にその責任を果たそうとすればするほど、その責任感が傲慢さに化けることがある。いや、傲慢とは言い過ぎかもしれない。ならば、リーダーが陥る「誤解」だ。 関西電力大飯原子力発電所の3・4号機の再稼働を「自らの責任」と称した野田佳彦首相などは、その誤解に陥った典型と言えるかもしれない。あの頬を紅潮させた様子は……、オッと、冒頭から一国のリーダーに対して「誤解」という言い草は申し訳ない。けれど、今回ばかりは言わせてもらいます。だって、黙ってはいられないほど、事態は深刻なのだ。 ということで、原発再稼働を巡る問題から、リーダーの大いなる「誤解」について考えてみようと思う。 安心どころか不安を増幅した野田首相の発言 「皆さんの生活は絶対に守りますが、命はちょっと……」 今月8日に同原発再稼働に関して行われた野田首相の記者会見は、そう言っているよう
フォーサイト POLITICS 東京電力福島第一原子力発電所の原子炉建屋。(左から)3号機、4号機=2011年11月12日午前、福島・大熊町[代表撮影]【時事通信社】 東京電力の「一時国有化」が視野に入ってきた。福島第1原子力発電所の事故発生から10カ月が経過。15万人に及ぶ避難住民や風評被害を受けた周辺地域への損害賠償、福島県内の原発10基の廃炉費用、長野や山梨、静岡など遠隔地の県にまで広がりつつある除染のコスト――。膨らむ一方の事故処理費用が東電の資産を容赦なく食い潰している。「円滑な損害賠償」を大義名分に昨年9月に発足した原子力損害賠償支援機構も倒産阻止の「救世主」にはなり得ない。政府やメディアは意図的に言葉遣いを避けているが、「国有化」とはつまり「破綻」であり、すでに国内最大の独占企業解体のシナリオが着々と進みつつある。 国有化=破綻【次ページ】 1234567 次へ
福島第一原子力発電所事故の本質を探るという目的でFUKUSHIMAプロジェクト(http://f-pj.org/)を立ち上げたのは、2011年4月のことだった。賛同者から寄付金を募り、それを資金に事故の検証を進め、その結果を書籍というかたちで公表するという枠組みである。この活動の一環として、5月には、日経エレクトロニクス5月16日号で『福島原発事故の本質 「技術経営のミス」は、なぜ起きた』と題する論文を発表し、そのダイジェスト版ともいえる記事を日経ビジネスオンラインで公開した。 ここで私が主張したのは、電源喪失後も一定時間は原子炉が「制御可能」な状況にあったこと、その時間内に海水注入の決断を下していれば引き続き原子炉は制御可能な状態に置かれ、今回のような大惨事は回避できた可能性が高いことである。つまり、事故の本質は、天災によって原子力発電所がダメージを受けてしまったという「技術の問題」では
フジテレビの記者が鉢呂大臣が「失言」をしたという現場にいたのかどうか、当事者同士の言い分が食い違っている 【photo】Bloomberg via Getty Images コラム「当事者が初めて語った『放射能失言』の裏側!鉢呂経産大臣は原発村を揺るがす『原発エネルギー政策見直し人事』の発表寸前だった」について、再び追記 いったいフジの記者はそこにいたのか、いなかったのか。 鉢呂吉雄前経済産業相が大臣を辞任する理由の一つになった「放射能をうつしてやる」発言をした9月8日夜の記者懇談で、9日夕に第一報を流したフジテレビの記者が現場にいたのかどうかをめぐって、当事者同士の言い分が食い違っている。 私の14日付けコラム末尾に加えた15日公開の追記で、フジテレビから『現代ビジネス』編集部に抗議があった経緯と「記者はいた」というフジの言い分、再取材に基づく鉢呂の「いなかったと思う」という発言をそのま
株式会社NO BORDER代表取締役。社団法人自由報道協会代表。元ジャーナリスト。1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局記者、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者、フリージャーナリストなどを経て現在に至る。著書に『石原慎太郎「5人の参謀」』 『田中真紀子の恩讐』 『議員秘書という仮面―彼らは何でも知っている』 『田中真紀子の正体』 『小泉の勝利 メディアの敗北』 『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』 『ジャーナリズム崩壊』 『宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く』 『世襲議員のからくり』 『民主党政権は日本をどう変えるのか』 『政権交代の内幕』 『記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争』 『暴走検察』 『なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか』 『上杉隆の40字で答えなさい~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」~』 『結果を求めない生き方
危険な廃棄物と化した原発は解体撤去もままならず、事故処理は今いる日本人が皆死んだ後まで続くかもしれない 福島の一角で巨大な事故を起こした原発が不安を与え続けている。放射能の塊を早く取り除いてほしい──というのは、避難民や周辺住民のみならず、日本全体に共通した願いだ。汚染水を海に投棄したときに抗議した隣国や、地球の裏側なのに甲状腺の被曝対策として安定ヨウ素剤を買いあさった国があったことを考えれば、世界全体の願いと言ってもいい。 しかし放射性物質を外界に大量に放出した東京電力福島第一原発は、事故から4カ月を経た今になっても、撤去の前提となる原子炉の安定すらできずにいる。にもかかわらず、東電や政府関係者は確かな根拠があるとも思えない発言を続けている。 政府と東電は先週末、当初の目標としてきた「原子炉の安定的な冷却」に到達したという見解をまとめた。菅直人首相は原発周辺の市町村長らに対し、来年1月の
個人的な立場で考えれば、「ちょっとおかしくないかい?」と疑いに持つことでも、いったん組織の人間の立場になると、「え? 何が悪いわけ?」と思うことが少なくない。ところが、そのことに対して世間から「それは不正だ」という烙印を押されたり、何らかのトラブルが起きたりすると、一転して「誰がやったのか?」と“犯人捜し”が始まる。 「こんなことをやったのは誰だ?」 「一人でやるわけないんだから、組織ぐるみの犯行だろう?」 「そんなの上の指示がない限り、やらないだろう?」 検証はすべて「誰の責任か?」という文脈で行われ、たどり着いた先にいた“人”だけが、責任を取らされて、ジ・エンド。 「なぜ、そんなことが起こってしまったのか?」という極めて大切な議論がなされないままに、だ。 問題が明らかになる一方で、置き去りにされる「なぜ」 九州電力の「やらせ問題メール」も、そうやって片づけられていってしまうのであろうか
株式会社NO BORDER代表取締役。社団法人自由報道協会代表。元ジャーナリスト。1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局記者、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者、フリージャーナリストなどを経て現在に至る。著書に『石原慎太郎「5人の参謀」』 『田中真紀子の恩讐』 『議員秘書という仮面―彼らは何でも知っている』 『田中真紀子の正体』 『小泉の勝利 メディアの敗北』 『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』 『ジャーナリズム崩壊』 『宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く』 『世襲議員のからくり』 『民主党政権は日本をどう変えるのか』 『政権交代の内幕』 『記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争』 『暴走検察』 『なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか』 『上杉隆の40字で答えなさい~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」~』 『結果を求めない生き方
九州電力によるいわゆる「やらせメール」問題は、発覚以来、拡大し続けているように見える。以下、これまでに報道されたところを、時系列に沿って列挙してみる。 ・6月26日:佐賀県のケーブルテレビ局が、運転停止中の玄海原発(2号機と3号機)の再稼働について理解を求める県民向けの説明番組(←経産省主催)を放送した。 ・7月2日:日本共産党の党機関紙「しんぶん赤旗」が、26日の放送で紹介された視聴者からのメールの中に、九電の関係者の働きかけによる「やらせメール」が含まれていた旨を報道。 ・7月4日:佐賀県議会原子力安全対策等特別委員会において、共産党の議員が「やらせメール」問題を追及。これに対し、参考人として呼ばれた九電の中村明・原子力発電本部副本部長は、「(社内や関係会社に)どうこうしろと言った事実はございません」と「やらせ」疑惑を否定した。 ・7月6日:九電の社内調査で、同社幹部が再開賛成の意見を
東日本大震災に伴う福島原発事故は、日本の原子力政策が抱える多くの課題を白日の下に晒した。「脱原発」の声が強まる一方、代替エネルギーの可能性はいまだはっきり見えてこない。菅政権が成立を目指す「再生可能エネルギー特別措置法案」については、「政争の具にされるのではないか」という不安も募っている。国中を巻き込んで混沌とした議論が続くなか、以前から原子力政策のあり方について提言を続けて来た河野太郎議員は、震災後も自身のブログやメディアを通じて国民目線の主張を行なっている。これまで原子力政策を推し進めてきた自民党の中で、河野議員が原発に警鐘を鳴らし続けて来た背景には、どんな危機意識があったのか。今後日本が目指すべきエネルギー政策とは何か。詳しく話を聞いた。(ダイヤモンド・オンライン 原英次郎、小尾拓也) 日本の核燃料サイクルは もはや完全に破綻している ――東日本大震災とそれに伴う福島原発事故は、未曾
全国の水道汚泥から放射性セシウムが検出され、処分問題の波紋が広がる。下水汚泥の再利用率は年々上がってきたが、建設資材としての活用があだに。ガス精製や廃熱利用など、下水道の新技術へと舵を切ることが不可欠だ。 東京電力福島第1原子力発電所事故の余波で、全国15都県の下水道処理施設の汚泥から、高濃度の放射性セシウムが相次ぎ検出されている。 「個別の対応を検討中」と態度を明確にせず、埋め立てやリサイクルなど処分を巡る国の基準、対応が具体性を欠くため、全国の処理業者が受け入れを拒否。汚泥が全国の自治体で山積するという異例の事態に至っている。 「まさかこんなことで汚泥が行き場をなくすとは…」。国土交通省関係者は戸惑いを隠せない。 日本で発生する年間200万トン超の下水汚泥のうち、8割近くがリサイクルされ、大半はセメントやレンガなど建設資材の材料に活用されてきた。 建材に代わるリサイクルを模索 放射性セ
「平成23年3月分の検針中止に関するお詫び」と題する文面には、福島第1原子力発電所の事故と計画停電に関するお詫びに続き、こんな記述がある。 「ご報告が遅くなりましたが、平成23年3月14日(月)から3月16日(水)の間(一部地域については、3月23日(水)までの間)、東北地方太平洋沖地震の余震が多く、道路交通事情も悪化したことなどから、検針を中止させていただきました。 そのため、平成23年3月分の電気のご使用量については、前月の平成23年2月分のご使用量と同量とさせていただき、過日、電気ご使用量のお知らせ(検針票)を送付させていただきました。 なお、今回の取扱いによる電気料金の差額につきましては、平成23年4月分の電気料金をご請求する際に精算させていただきます」 震災後のバタバタで見落としていたが、これに先立ち、検針日を3月16日としながら、2月分と同額を徴収する旨の検針票がはがきで送られ
災害時における政府のICT、そのなかでもTwitterなどSNSの有用性を実感したのは、昨年2月に起きたチリ沖大地震の時でした。津波による原発事故が懸念され、沿岸地域では不安が広がっていました。そこで「3m以内の津波では問題ない」という調査結果を私的なTwitter で流したところ、短期間で収束が見られ、避難情報にも即効性があったのです。当時、総務大臣だった私は、消防庁と電気通信の局長にTwitter による災害時の情報提供をシステム化するように指示し、幸いそれが先日の東日本大震災でも活かされることになりました。また「光の道構想」にも着手していたのも、同様に災害時のリスクを予見してのことです。 そもそも将来的にトラフィックの飛躍的な増大があり、加えて災害時の対応も大きな課題でした。解決策の1つには、まず情報処理法を変える方法があります。現在の方法は莫大なエネルギーを必要とし、排出する熱量も
アパラチコラで過ごす優雅な時間 メキシコ湾沿いの入り江に面した米フロリダ州の小さな町アパラチコラ。こじんまりした海辺のホテルに宿泊し、バーで新鮮なシーフードを味わえるほか、地ビールの醸造所もある。綿花や漁業で栄えたこの町には、グリークリバイバル(ギリシャ建築への回帰)様式の優雅な住宅が散見される。数キロの沖合に浮かぶセントジョージ島には白い砂浜が広がる。
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