単身スコットランドに渡り、万年筆とノートだけで、ウイスキーづくりの技術を習得したと賞賛された竹鶴政孝氏。竹鶴氏がスコットランド留学時に記したノート、通称「竹鶴ノート」は、今もウイスキーづくりに携わる人々にとって大切な指南書だといわれる。ノートは長い間所在不明だったが、竹鶴氏が最初に所属していた大阪の老舗洋酒製造会社「摂津酒造」の上司である岩井喜一郎氏の関係者が保存していたことが分かり、ニッカウヰスキーに寄贈された。今回は、その内容に迫っていく。 竹鶴ノートに10年前に出合い、現代語訳を手がけているのが、1998年にハイランド・ディスティラーズ社より「世界のウイスキーライター5人」の一人として選ばれた、ウイスキー評論家の土屋守氏だ。土屋氏は「このノートには竹鶴氏の人柄も、当時のスコットランドの様子も、そして現代に通用するビジネス成功へのヒントまでもが詰まっている」と話す。そんな魅力あふれる竹