“芸術知能犯”との異名を持つコントユニット・ラーメンズが2003年に発表したコント『アトム』は、未来が輝かしいものになっていると信じていた男(片桐仁)がコールドスリープから目覚め、三十年後の世界(=現代)に生きている息子(小林賢太郎)の頬に触れるシーンから始まる。そう、男には息子がいる。男が眠っている間、その姿をじっと見守り続けてきた息子である。 男は彼から情報を得ようとする。かつて、自分が想像していたような、輝かしくきらびやかな未来を感じるために。事実、未来は訪れていた。近眼なのに裸眼で過ごせている息子の目に貼られているコンタクトレンズ。コードも本体もない折り畳み式の電話。目的地への行きかたを教えてくれるカーナビゲーションシステム。それらは三十年前にはなかった、未来のカタチだった。 だが、それが現実の未来の限界だった。 犬のロボットは、遠くにボールを投げても取りに行かない。その場で転がっ
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