キリンホールディングスとサントリーの経営統合が破談になったのは、残念だった。元気な企業同士だし、どちらも魅力的な製品を持っているので、統合会社が将来出す製品を見て(飲んで)みたかった(筆者は酒好きである)。 しかし、実際に両社の統合が行われた場合、どんな経営体制になったのかと考えてみると、本当にこの経営統合がよい経営戦略だったのかどうかについて自信がなくなる。それは、統合交渉を発表する際に「対等の精神」が強調されていたからだ。 対等とは、2つの集団のバランスを取るということであり、対等を強調する限り、2つの集団の区分が残る。組織として一体化しようとしても、「対等」を思い出すたびに、組織は割れてしまう。これが「対等の呪い」だ。 共にプライドの高い2社の統合の場合、「対等」ではなく、一方が他方を「吸収(買収)」するという前提では、吸収される側が納得できないのだろう。もっとも、表面的には「プライ