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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/column (10)

  • 世界が尊敬する日本人

    私は京都のある大学で週1時間だけ「メディア論」の授業をしています。先日のテーマは「雑誌の読み方」。読んでいる週刊誌や月刊誌を持参し、なぜその雑誌を購入したか語ってもらうことにしました。 「雑誌は買わない」「読まない」という学生も多かったのですが、ひとりが持ってきたのが、「ニューズウィーク日版」7月8日号でした。マイケル・ジャクソンの特集を読みたかったのかと思いきや、「世界が尊敬する日人」の特集があったから、という返答でした。とかく日人は自信喪失気味。そんな気分のときに、元気の出る、勇気をもらえる特集が気に入ったようでした。書店の店頭で表紙を見て、買う気になったのですね。ちなみに、ニュース週刊誌を持参したのは、この学生ひとりでした。 この特集で取り上げられている日人の中には、私が知っている人も何人かいることはいるのですが、その多くは、知りませんでした。それだけ私の視野が狭いということ

    世界が尊敬する日本人
    Syunrou
    Syunrou 2015/12/11
  • 大陸と香港、深い隔たり

    今回は少々びろうな話題が出てくるので、事時に読むのはご遠慮いただきたい。 これまで何度かこの欄で書いてきたが、中国と香港の間で続く不協和音にまた新しい火種が持ち上がった。今回きっかけになったのが、繁華街で若い中国からの観光客の夫婦が幼い子供にウンチをさせていた様子を、通りがかりの香港人の若者がパシャリと写真を撮ったことだった。 ネットで目にした、その1枚と思われる写真にはいろいろな情報が詰まっていた。写真中央には道端にしゃがんでお尻を丸出しにした女の子。お尻の下にはティッシュが広げられ、脇に女性がティッシュを手にしゃがみ込んでいる。すぐそばに女の子が乗っていたらしいベビーカーがあり、父親らしい若い男性がその横に立っている。路面には香港では駐停車禁止のサインである黄色い斜線が引かれており、女の子の向こう側の歩道をたくさんの人たちが行き来する様子が映っている。看板などが映っていないので具体的

  • 国境紛争を観光化するインド・パキスタン

    今、パキスタンに来ている。 人間文化研究機構が実施するイスラーム地域研究事業の一環で、パキスタンのラホール経営大学で「イスラーム地域研究の新たな地平」と題する国際会議が開催されているのだ。ラホール経営大学との協力関係を作り上げ、日の若手イスラーム地域研究者と、パキスタンの優秀な若手学者の熱気溢れる学術交流と信頼関係を築き上げた早稲田大学の桜井啓子先生の、三日間の国際会議を切り盛りする見事な手腕は、実に感動ものだったが、紛争や国際政治を専門にする者として、それ以上に感銘を受けたことがある。ラホールのパキスタン・インド国境への訪問だ。 インドとパキスタンが、1947年の英領からの分離独立以来、さまざまな国境対立を抱えていることは、周知のことだろう。ラホールの国境のひとつのワーガーという村も、分離独立でふたつの国に分断された場所のひとつだ。そこでは、毎日国境を挟んで国旗降納の儀式が繰り返されて

  • バーバリーだけじゃない、ファッションブランドから次々人材を引き抜くアップルの狙い

    アップルが有名ファッション・ブランドのバーバリーからCEOを雇い入れたことが話題になっている。実は、アップルがファッション・ブランドからトップをヘッドハントしたのは、最近でこれが二人目だ。今年7月には、パリの有名メゾン、イヴ・サンローランのCEO兼会長を雇った。 バーバリーCEOのアンジェラ・アーレンズは、長い間空席になっていたアップルの小売部門の統括責任者となる。一方、サンローランのポール・デネーブは「特別プロジェクト」の担当。この特別プロジェクトとはおそらく、アップルが近い将来に発表するだろうとされている腕時計型コンピュータ、つまり通称「iWatch」だというのがもっぱらのうわさだ。 トップの引き抜きではないが、ファッション業界ということで言えば他にもいる。リーバイズの上級副社長がアップルのアメリカ国内小売店担当になり、ナイキのデザイン・ディレクターもアップルに加わっている。 ファッシ

  • エジプト、シリア、ケニア、イラン:90年代の再来?

    このところの中東情勢を見ていると、90年代に逆戻りしたのではないか、とのデジャブ感に襲われる。 ムルスィー政権を倒したあとのエジプトでは、ムスリム同胞団の幹部、指導者の逮捕に続いて、NGOとしての同胞団の活動も禁止された。これは、「政治活動はダメだが社会慈善事業はOK」としてきたムバーラク政権時代よりも、イスラーム組織への締め付けが一層厳しくなっている。 シリア内戦では、案の定オバマ米大統領は振り上げた拳の落としどころに悩み、結局中途半端なままうやむやになった。米国がシリア情勢に手を出せないことが露呈された分、内戦はますます解決が遠のいている。前回のコラムで指摘したように、経済制裁下のイラクを持て余したクリントン政権の姿と、被る。 シリアはイラクの二の舞なだけではなく、アフガニスタンの二の舞化もたどっている。反政府勢力のなかにイスラーム武装勢力が大量に流れ込んでいることは自明で、かつてター

  • シリコンバレー、仰天「社員特典」のヤフーな副作用

    「パーク(perk)」と呼ばれる社員特典制度が、シリコンバレーで充実してきた。いや、充実どころかちょっと過剰気味になっている。各社が充実度を競う結果「え、そんなことまで?」という制度も増えてきている。 パークの充実には全米の企業が努力しているが、とりわけシリコンバレー企業にとっては不可欠のものと言っていい。エンジニアは常に供給不足で引く手あまた。どの企業も職場環境の魅力をアピールすることで少しでも優秀なエンジニアを雇い入れ、また他の企業への転職を防ごうと必死なのだ。 パークの具体的な中身をレベル別に見てみよう。 ■基レベル ・フレックスタイム ・在宅勤務 ・社内カフェテリアでのグルメなランチ(割引料金、あるいは無料) ・社内スポーツクラブ、ヨガやダンスのクラス(無料) ・ペット同伴出勤 ・無料のスナック、ドリンク ■中級レベル ・Wi-Fi完備の社用バスによる送迎出勤 ・社内無料マッサー

  • 謝らないアップルの危険性

    以前から、アップルは謝らない企業だと思っていた。 思えばiPhone4が発売された2010年初夏のこと、持ち方によってはうまく通話の接続ができないという問題が続出して、多数のユーザーが不都合を訴えたことがあった。メディアもこれは製品の不良ではないかと、こぞって報じた。あるユーザーがまだ存命だったスティーブ・ジョブズにメールを送ったところ、戻ってきたのはこんな返事だ。 「大した問題ではありません。そういう持ち方をしなければいいんです」。 このアンテナ問題についてアップルが声明を出したのは、何週間も経ってからだ。「どんな携帯電話も、持ち方によっては通信強度表示のバーが1は減ります」とか、「問題は通信強度のバー表示の設定自体にあるようです」などと書かれている。問題があることを認めたような、そうでないような......。無料でケースを配ったりはしたが、決して謝罪はしない。 さらにさかのぼって、初

  • 武闘派イスラーム主義台頭の背景には

    どうも欧米の知識人は、イスラーム世界で起きていることとなると、つい「三日月」を名前に使いたくなるらしい。「アラブの春」後のアラブ諸国で、最近サラフィー主義が台頭していることを評して、アメリカの中東研究者ロビン・ライトは、こう表現した。「新しいサラフィー三日月地帯」。地中海沿岸のシリアからエジプト、チュニジア、リビアといったスンナ派の国々で、サラフィー主義者が起こす暴力的事件が増えていることが、この表現の背景にある。 少し前、イラク戦争直後は、イラン=シーア派の脅威、とみなされ、レバノン、シリア、イラク、イランが「シーア派三角地帯」と危険視されていた。それが、今度はスンナ派か。そういえば、ブッシュ政権時代には、もっと広げて北アフリカから北朝鮮までを「不安定の弧」とする名称もあった。三日月は、十字=十字架に代わってイスラームの象徴として使われるものだが、暴力や紛争が絡む地域の地理的名称に、いち

  • キンドル上陸!電子書籍の価格戦争はこれから面白くなる(はず)

    でもアマゾンによるキンドルの電子書籍販売がやっと始まった。さっそく試し読みをしている人々が多いことだろう。 私にとっては、電子書籍にどんな価格が付けられるのかは興味津々だった。というのも、アメリカでも電子書籍の価格については二転三転あり、おそらくこれからもまだまだ変わり続けるだろうからだ。 ざっと日のキンドルを見てみたところ、無料のものは別として、やはり二つに分かれているのがよくわかる。プリントの価格からあまり値引きされていない電子書籍と、けっこう思い切った値引きがされている電子書籍である。 伝え聞くところによると、日でもアマゾンと出版社との契約に際して、ホールセール(卸売り)モデルとエージェンシー(代理店)モデルとの二通りの方法が採られたとのこと。前者ではアマゾンが最終販売価格を決め、後者では出版社の意向に従った価格で販売される。日では再販制度によってプリント書籍は出版社の

  • 見えない中国、見える中国

    ここ数日、ツイッターに「斯巴達」という言葉が舞っている。「いつもだったら5分の距離なのに、もう40分以上かかってる。夕飯の約束に大遅れ。『斯巴達』のせいだ!」とか、「テレビつけるとぜーんぶ『斯巴達』。いいかげんにしろ」とか、「なんで今日はネットにつながりにくいんだ? これも『斯巴達』効果?」などという具合に。もうお分かりかもしれない、「斯巴達」がそれほど喜ばれているわけではないことが。 これを杓子定規に辞書を引いて、「スパルタ」などと訳してはいけない。いや、ギリシャの「スパルタ」のようでありながらスパルタにあらず、想像力と創造性という点からすれば、この「斯巴達」は最近の中国インターネット隠語のレベルからみれば、かなり上出来である。 「斯巴達」は「スーバーダー」と読む。このあたりでちょっとひねくれた中国人ならすぐ分かる。「スーバーダー」→「シーバーダー」→「十八大」、つまり今開かれている、中

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