頭おかしい――。セキュリティ界隈でしばしば聞かれるこの形容詞は、「発想がぶっ飛んでる天才」「従来の価値観を根底からひっくり返す突破者」に向けられる、畏怖と賞賛と嫉妬と親しみがごちゃ混ぜになった言葉だ。2000年代の「セキュリティ・キャンプ」は、そんな「頭おかしいヤツ」のエネルギーが溢れていた。アクティブディフェンス研究所の忠鉢洋輔はそのエネルギーに圧倒され、その後の人生を決めた。 「セキュリティ・キャンプ」とは、経済産業省とIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が次世代を担う高度IT人材育成に向けた取り組みの一環として2004年に立ち上げた、セキュリティ人材育成のプログラムである。原則22歳以下の学生が対象で、毎年8月には4泊5日の泊まり込み合宿がある。2018年は85名の参加枠に対し、403名の応募があった。すでに500名超の卒業生を輩出しており、産官学のあらゆる分野で活躍している。もち