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  • 待機児童問題で語られない「ゼロ歳児を預かる費用は月額40万円」 週刊プレイボーイ連載(340) – 橘玲 公式BLOG

    安倍首相の「側近」とされる政治家が、党員向けの会合で「『パパとママ、どっちが好きか』と聞けば、どう考えたって『ママがいいに決まっている』」と述べました。「生後3~4カ月で、『赤の他人』様に預けられることが当に幸せなのだろうか」として、「待機児童ゼロ」を目指す政府方針について、「慌てずに0歳から保育圏に行かなくても、1歳や2歳から保育園に行けるスキームをつくっていくことが大事なのではないか」と発言したとのことです。 日は「先進国の皮をかぶった身分制社会」なので、夫は会社に滅私奉公し、は子育てを「専業」にする性役割分業の抑圧がつよく、それが日人の幸福度を大きく毀損していることは間違いありません。私自身も子どもをゼロ歳から保育園に預けていたので、「こんなに小さいときからかわいそう」という周囲の“善意”がどれほど残酷なものであるかも知っています。そんな日社会の既得権層を代表する政治家(オ

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  • 日本企業は「体育会系」大好き、日本社会は「運動部カルト」 週刊プレイボーイ連載(339) – 橘玲 公式BLOG

    すこし前のことですが、ヘッドハンティングを仕事にしているひとの話を聞いたことがあります。新しい部署や事業部を任せられる幹部を、年収1000万円から3000万円で探すよう頼まれるのだといいます。 ヘッドハンターによると、日企業と外資系企業では採用基準がちがうそうです。 外資系企業が評価するのは学歴・資格・職歴・経験、そしてなにより実績で、男女の別や国籍・人種は問いません。それに対して日企業は「男性」「日人」が当然の前提で、女性や外国人はそもそも検討の対象にもなりません。 こういうところに日企業の差別的な体質が現われていますが、それは容易に想像できます。興味深いのは、外資系企業がまったく関心を示さないのに、日企業にとってきわめて重大な属性があることです。それが「体育会」です。 「いつも不思議に思うんですけど」と、ベテランのヘッドハンターはいいました。「大学の運動部出身というと、どこも

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  • 「差別とは無関係」といいながら差別するひとたち 週刊プレイボーイ連載(300)  – 橘玲 公式BLOG

    民進党の蓮舫代表(7月27日に辞任を表明)が「二重国籍でないことを証明する」ため、戸籍の写しなどを公表したことが波紋を広げています。この問題についてはネットを中心に膨大な議論がありますが、話がややこしくなるのは、「国会議員が二重国籍なのは違法だ」と思っているひとが(ものすごく)たくさんいることです。すでに指摘されているように、公職選挙法では国会議員が日国籍であることを定めているだけで、二重国籍を排除する規定はありません。 2007年の参院選挙では、国民新党がアルベルト・フジモリ元ペルー大統領を比例代表候補として擁立していますが、フジモリ氏が日とペルーの二重国籍であることはまったく問題にされませんでした。蓮舫代表のケースでは、国籍についての過去の発言に矛盾があることは確かですが、司法の判断の前に経歴詐称と決めつけ、有権者によって選ばれた議員の資格を一方的に否認するのは民主国家としては明ら

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  • 日本の「リベラル」より、安倍政権の方がリベラル? 週刊プレイボーイ連載(289)  – 橘玲 公式BLOG

    安倍首相は5月3日の憲法記念日に、読売新聞のインタビューと憲法改正を推進する民間団体へのビデオメッセージで、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」として、憲法9条と高等教育無償化を具体的な検討項目に挙げました。これまで「9条に手をつけられるはずがない」とたかをくくって「お試し改憲」を批判していたひとたちは、腰を抜かんさんばかりに驚愕したのではないでしょうか。 安倍首相はメッセージで「多くの憲法法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が今なお存在する」として、「『自衛隊は違憲かもしれないけれども、何かあれば、命を張って守ってくれ』というのは、あまりに無責任だ」と述べました。 無責任と名指しされた“リベラル”な学者や共産党は、この批判に責任をもってこたえなくてはなりません。とはいえ、これまでの主張を見るかぎりこれはなかなか大変です。 共産党委員長は「自衛隊は憲法違反だと思うが、国

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  • 自分の妻も管理できない人物に国家を管理できる? 週刊プレイボーイ連載(281)  – 橘玲 公式BLOG

    大阪府の学校法人が首相夫人を「名誉校長」に迎えて新設する小学校の建設用地として、国有地を格安で随意契約した事件が波紋を広げています。「国民の財産」が不当な安値で払い下げられるのはたしかに大問題ですが、それ以上にひとびとの興味を掻きたてたのはこの学校法人の教育方針で、幼稚園では園児に軍歌や教育勅語を唱和させ、保護者に対して「パンツが生乾きで犬臭い」とか、日国籍を取得した韓国人の親に「韓国人と中国人は嫌いです」との手紙を送りつけるなど、常識では考えられない“奇行”の数々が暴かれました。国際社会からも「日の首相夫はヘイトなのか」と疑惑の目を向けられかねず、あわてて「名誉校長」を辞任し火消しに躍起です。 とはいえ、首相が国会で「私やが関係していたとなれば、首相も国会議員も辞める」と大見得を切ったのですから、政治的には単純な話です。国有地の格安売却に自らの意向が働いていたとの証拠があれば首相

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  • 大麻バッシングは日本の「精神の貧困」の象徴 週刊プレイボーイ連載(266) – 橘玲 公式BLOG

    参議院選挙にも出馬した元女優が大麻取締法違反で逮捕されたことが、ワイドショーなどで連日大きく報じられました。大麻合法化を公約に掲げて選挙に立候補した以上、確信犯なのでしょうが、残念なのは、離島での暮らしや奇矯な言動が大麻(マリファナ)についての主張といっしょくたにされてしまったことです。 元女優が男性4人と暮らすのは自由ですが、「ふつう」ではないかもしれません。しかし大麻の所持や使用は、いまや先進国では違法とするほうが少数派になっています。 オランダでは早くも1970年代に大麻が解禁されましたが、イギリス、ドイツ、フランスなどヨーロッパの主要国でも、法律上は違法とされていても個人による栽培・使用は放任されているのが実情です。アメリカでは州ごとに規制が異なりますが、医療用大麻は多くの州で合法化され、コロラド、ワシントン、オレゴン州では個人使用の嗜好用マリファナも合法化されています。またカナダ

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  • ヘビを差別しない「明るい社会」? 週刊プレイボーイ連載(264) – 橘玲 公式BLOG

    ヘビを気持ち悪いと恐れるのは生得的な感情です。猛毒を持つヘビに安易に近づいた個体が生命を落とし、警戒した個体が生き延びて子孫を残したことで、ヘビへの強い嫌悪感が「選択」されました。これが進化論の標準的な説明で、ヒトだけでなくチンパンジーの子どもも同じようにヘビを恐れることがわかっています。長大な進化の時間軸のなかで一部のヘビが毒を持つようになり、それに対して他の生き物が、長くてにょろにょろ動くものを嫌悪するようになることで対抗しました。私たちはこうした「共進化」の末裔なのです。 ところでここで、「イヌやネコをかわいがってヘビを嫌うのはヘビに対する差別だ」と主張するヘビ愛好家が現われたとしましょう。すべての生き物は生まれながらにして平等なのだから、長くてにょろにょろ動くというだけで、毒を持たない“善良な”ヘビまで嫌うのは「生き物権」の侵害だというのです。 「生き物権」を普遍的な自然権とするな

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  • 18歳に伝えたい国際政治のリアリズム 週刊プレイボーイ連載(245) – 橘玲 公式BLOG

    オバマ大統領が現職の米大統領としてはじめて広島を訪問し、「『核のない世界』の追求」をあらためて訴えました。 じつはオバマ大統領は、就任直後の2009年4月、プラハで「核兵器を使用したことのある唯一の核保有国として行動する道義的責任」を宣言し同年のノーベル平和賞を受賞しています。ところが大統領の任期を終えるいまになっても、具体的な成果はなにひとつありません。「ノーベル平和賞はたんなる空約束」との批判を意識して、今回の広島訪問を決断したのでしょう。 広島・長崎の悲劇を知る日人だけでなく、世界じゅうのひとたちが70年前から「核のない世界」を求めてさまざまな活動を行なってきました。それなのに核兵器を廃絶できないのはなぜでしょうか。 1998年にパキスタンが核実験を行ないますが、その理由はカシミール地方の領有権をめぐって3度にわたって戦争を行なったインドが核を保有しているからです。そのインドは19

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  • ”災害大国”日本で、なぜひとびとはハイリスクなギャンブルをするのか? 週刊プレイボーイ連載(244) – 橘玲 公式BLOG

    県を震源に九州中部を襲った地震では、4月14日に震度7の前震があり、その2日後に阪神・淡路大震災に匹敵する震が起きたことで多くの家屋が倒壊しました。現在も復興への努力がつづけられていますが、今後大きな問題となるのは地震保険などで保証されない被災者の経済的損害でしょう。 東日大震災では、津波によって跡形もなく流されていく多くの家屋を私たちは目にしました。地震国である日では、数年ごとに全国のどこかで同様の事態が起きています。 標準的な資産運用理論では、被災者の経済的困難を「タマゴをひとつのカゴに盛っている」からだと説明します。多くの日人は資産の大半をマイホームという名の不動産投資で運用しており、住宅ローンという信用取引によって純資産を上回る資金を不動産に投じることも珍しくありません。安全な資産運用の原則は分散投資で、(マイホームという)たったひとつの投資対象に全財産を賭けるのはきわ

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  • 日本の「リベラル」はどこがうさんくさいのか? 週刊プレイボーイ連載(243) – 橘玲 公式BLOG

    自分のや子どもを殴りつけながら、「暴力はやめましょう」とか「平和がいちばん」と他人に説教するのはどうでしょう? アタマがおかしいか、とんでもない偽善者だと思うのではないでしょうか。 これまで繰り返し述べてきたように、日社会の恥部である正社員と非正規の格差は身分差別以外のなにものでもありません。なぜこういい切れるかというと、この制度には「アカウンタビリティ(説明責任)」が欠落しているからです。 「同じ仕事をしているのに、なぜ自分の給料はあのひとの半分なのか?」と問われて、相手が納得する回答ができれば「アカウンタブル(説明可能)」です。「お前は正社員じゃないんだから当然だ」と怒鳴りつけたり、「そんなこといわずにオレの立場もわかってくれ」と泣き落とすのはアカウンタブルではありません。説明できない格差は人種や性、国籍や宗教、身分などの差別から生まれます。基的人権を尊重するリベラルな社会は、「

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  • いまでは恋愛は家族のイベント? 週刊プレイボーイ連載(241) – 橘玲 公式BLOG

    近所のレストランに行ったら、隣の席で家族連れらしき4人が事をしていました。よくしゃべるお母さんがいて、その向かいに物静かなお父さん、10代後半の女の子と大学生のお兄さん、という組み合わせだと思ったのですが、聞くともなく話を聞いていると(というか、お母さんの声が大きいのでイヤでも聞こえてしまうのです)、事を勧められている若者が「緊張してもうべられません」としきりに謝っています。兄妹だと思ったらじつはカップルで、大学に入学したばかりの娘が、新しくできたカレシを両親に紹介していたのです。 いまの若いひとには珍しくないかもしれませんが、私の世代にとってこれは驚くべきことです。「恋愛は二人の関係」というのは常識以前の話で、結婚の約束をしたわけでもないのに親に会ってくれといわたら、絶句して即座に関係を解消したでしょう。 このエピソードを書いたのは、後日、さらに信じがたい話を聞いたからです。 ある

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  • 女性はなぜあの時に声を出すのか? 週刊プレイボーイ連載(240) – 橘玲 公式BLOG

    近年では、さまざまな人間の行動を進化の産物として説明することが当たり前になりました。 私たちの祖先が生きてきた旧石器時代は糖がきわめて貴重で、幸運にも甘いもの(ハチミツなど)を見つけたら限界までべるよう進化してきました。ところがこれは、糖質の多いファストフードが容易に手に入る飽の時代には破滅的な結果をもたらします。こうしてアメリカでは、貧困層の肥満が社会問題になる皮肉な事態が起きたのです。 このように進化論は強い説得力を持ちますが、ときにきわめて不都合な結論を導き出します。 哺乳類では、オスとメスの生殖のコストが大きく異なります。ヒトの場合、女性は妊娠から出産まで10カ月ちかくかかり、出産後も長期にわたって授乳させないと子どもは生きていけません。このような制約から、一生のあいだに産める子どもの数はおのずから決まってきます。 それに対して男性は、生殖にほとんどコストがかかりません。これが

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  • 第58回 「漏れない秘密」もはや幻想(橘玲の世界は損得勘定) – 橘玲 公式BLOG

    中米のタックスヘイヴン、パナマの法律事務所から流出した大量の秘密ファイル(パナマ文書)が波紋を広げている。ロシアのプーチン大統領に近い関係者、中国の習近平国家主席の親族、イギリスのキャメロン首相の亡父、アルゼンチン大統領やパキスタン首相からサッカー選手リオネル・メッシまで多数の政治家・有名人がタックスヘイヴンに会社を設立して資産隠しをしていた疑いが生じたからだ。 この事件で明らかになったのは、現代社会ではもはや「守秘性」は幻想だということだ。 秘密を守るもっとも確実な方法は、秘密を知る人間の数を減らすことだ。かつてスイスの名門プライベートバンクは、顧客情報は担当者と経営者しか知らず、重要な顧客は銀行の創業者一族である経営者が担当するため、秘密が漏れる恐れはほとんどなかった。ところがその後、情報のデータベース化が進むと、顧客名簿にアクセスできる人数は飛躍的に増えた。 2008年にリヒテンシュ

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  • 安倍政権が「リベラル」になる理由 週刊プレイボーイ連載(238) – 橘玲 公式BLOG

    安倍内閣が10%への消費税増税を再延期し、衆参同日選に打って出るとの憶測が盛んです。現時点ではどうなるかはわかりませんが、安倍首相が憲法改正可能な議席を確保しようと思うのなら、この戦略は合理的です。 20年以上にわたって続いた中国の高度経済成長が減速をはじめ、今年に入ってから世界経済が動揺しています。鳴り物入りではじまったリフレ政策も、日銀がどれほど金融緩和してもインフレは起きず、マイナス金利という奇策に頼らざるを得なくなりました。 こうした状況を見て安倍首相は、韓国とのあいだで慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」に乗り出し、年頭の施政方針演説では「同一労働同一賃金」の法制化を目指すと宣言しました。 慰安婦問題での妥協は保守派・右翼に大きな不満を残しましたが、安倍首相に対抗する右派の政治勢力が存在しない以上、なんの脅威にもなりません。国際社会では彼らの主張は「朝鮮人を殺せ」と叫ぶ団体と

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  • 『言ってはいけない 残酷すぎる真実』まえがき – 橘玲 公式BLOG

    新刊『言ってはいけない 残酷すぎる真実』の「まえがき」を、出版社の許可を得てアップします。 *********************************************************************** 最初に断っておくが、これは不愉快なだ。だから、気分よく一日を終わりたいひとは読むのをやめた方がいい。 だったらなぜこんなを書いたのか。それは、世の中に必要だから。 テレビや新聞、雑誌には耳触りのいい言葉が溢れている。メディアに登場する政治家や学者、評論家は「いい話」と「わかりすい話」しかしない。でも世の中に気分のいいことしかないのなら、なぜこんなに怒っているひとがたくさんいるのだろうか。――インターネットニュースのコメント欄には、「正義」の名を借りた呪詛の言葉ばかりが並んでいる。 世界は来、残酷で不愉快なものだ。その理由を、いまではたった一行で説明でき

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  • 『言ってはいけない 残酷すぎる真実』発売のお知らせ – 橘玲 公式BLOG

    新潮新書から『言ってはいけない 残酷すぎる真実』が発売されます。 発売日は4月16日(土)ですが、都内の書店では明日の夕方から店頭の並ぶと思います。電子書籍版はすこし遅れますが、4月22日(金)からダウンロード可能になります。 書籍版はこちらから購入できます。Kindleでお読みになりたい方は、こちらから予約してください。 タイトルにあるように、この社会では「言ってはいけない」とされている話を集めました。どのような内容かも「言ってはいけない」ので、書店用のパネル画像をアップしておきます。 書は、前作の『「読まなくてもいい」の読書案内』からのスピンオフという性格も持っています。前作は「高校生でも楽しんで読める」というのがコンセプトでしたが、書は「R指定」です。興味を持たれた方は、合わせてお読みいただければ幸いです。

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  • 理屈をいう前に、まずは保育園の送り迎えから 週刊プレイボーイ連載(235) – 橘玲 公式BLOG

    子育てをしたのはだいぶ前のことですが、ゼロ歳のときから共働きで、月~金のうち2日は私が保育園に迎えにいくことになっていました。公立の保育園は9時から5時までで、前後に1時間延長が認められていました(*)。朝8時に子どもを預けると、5時に迎えにいくためには4時過ぎに会社を出なくてはなりません。これでは正社員の勤務は無理なので、子どもが小学校に上がるまではフリーランスで働いていました。 日では共働きでも夫が正社員、がパートがほとんどで、その保育園では父親が迎えに来るのは私だけでした。「保育園落ちた日死ね」のブログをきっかけに政治家や識者がいろんなことをいってますが、違和感があるのは、このひとたちのほとんどが保育園を利用した経験がないからでしょう。 待機児童の解消が重要なのは当然ですが、保育園の数を増やしただけでは問題は解決しません。当時、いちばん困ったのは子どもが頻繁に発熱することでした

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  • 知識社会は“人種ポピュリズム”から”リベラルなポピュリズムへ 週刊プレイボーイ連載(234) – 橘玲 公式BLOG

    アメリカ大統領選の候補者選びの中盤の天王山スーパーチューズデーで、不動産王ドナルド・トランプが7州を制したことで、この稀代のポピュリストが共和党候補として大統領選に臨む“悪夢”が現実的なものになってきました。すでに多くの識者が述べているように、これは米国社会の分断を象徴しています。ところで、いったいなにが「分断」されているのでしょうか。 これまでの通説では、共和党支持の「赤いアメリカ(保守)」と民主党支持の「青いアメリカリベラル)」が対立し、ティーパーティのような偏狭な保守主義が台頭してリベラル派が退潮しているとされてきました。ところが今回の選挙戦は、こうした見方に疑問を呈しています。 トランプは「メキシコとの国境に壁をつくる」とか、「ムスリムを入国禁止にする」などの排外主義的な主張で知られていますが、その一方で自由貿易より国内雇用を重視し、福祉政策は必要だと論じ、妊娠中絶に理解を示すな

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  • なんだ、エネルギー危機もなかったのか【書評】 – 橘玲 公式BLOG

    以前、川島博之氏の『「作りすぎ」が日の農業をダメにする』を紹介したが、ここではエネルギー問題について“常識の嘘”を暴いた『電力危機をあおってはいけない』を取り上げたい。 システム分析を専門とする川島氏は、マクロのデータから世間一般の常識を覆す“コロンブスの卵”的な結論を導き出す。それはとても説得力があって、「なんでこんなことに気がつかなかったんだろう」と不思議に思うほどだ。 書の主張は、端的に1行で要約できる。 「人口が減れば、電力消費も下がる」 日は2005年前後を境に人口減少社会に移行し、2015年からは世帯数も純減に転ずる(これまでは独居世帯の増加で人口減でも世帯数は増加していた)。その影響を考えれば、30年ほどで原発からの電力供給は必要なくなる。「卒原発」は荒唐無稽でもなんでもない。 もちろん、「そんなのは机上の計算で、将来、エネルギー資源が枯渇したらどうなるのか?」という批

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  • なんだ、“食糧危機”はウソだったのか【書評】 – 橘玲 公式BLOG

    すこし前のだが、川島博之氏の『「作りすぎ」が日の農業をダメにする』を紹介したい。 川島氏はシステム分析の専門家で、糧問題やエネルギー問題など、利害関係者の思惑によって議論が錯綜するやっかいな問題について、マクロのデータを冷静に分析したうえで現状を把握し、未来を予測することの重要性を強調する。書は、『「糧危機」をあおってはいけない』や『「料自給率」の罠』とともに、”糧自給率”や“糧安全保障”といった言葉に踊らされる日国内の議論がいかに不毛なのかを、国連糧農業機関(FAO)や国連人口局、世界銀行などの公開データを基に徹底的に暴いていく。 1950年に25億人だった世界の人口はその後爆発的に増加し、2011年には70億人に増えた。それと同時に、農業における科学技術革命によって1950年頃から米や小麦、トウモロコシなど穀類の単収が急増し、豚肉、鶏肉など肉の生産量も大幅に伸びて

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