細川元首相の出馬会見は、合理的に理解しようとすると頭が混乱する。彼の主張は「脱原発」ではなく、すべての原発を再稼動しないで廃炉にすることだ。その目的が不合理な上に、それを実現するために都知事選に出馬するという手段が不合理だから、常識で理解することは不可能だ。 昨夜の言論アリーナでも議論したのだが、「発送電分離」を急ぐ国のエネルギー政策も不合理な点では同じだ。いまエネルギー政策で緊急に必要なのは、原発を運転して燃料費の浪費を止めることだが、経産省は電力会社を標的にして自分を「善玉」の側に置こうとしている。これは東電を盾にして「支援機構」をつくったときから一貫する霞ヶ関の戦術だ。 これらを合理的に理解しようとすると、共通点は原発=電力会社というスケープゴートを仕立てて「正義」を演じようという欲望だろう。これは心理的メカニズムとしてはよくわかっていて、人種差別や反ユダヤ主義などのスケープゴーティ