中国の人件費が高騰するなか、新たな工場移転先として多国籍企業から近年注目されてきたバングラデシュだが、その人気に陰りが出てきているようだ。 2000年以降、アジア最低水準といわれる賃金に惹かれ、多くの企業がバングラデシュに工場を設けた。現在、同国の繊維品輸出額は2008年から約2倍に増え、年間200億ドル(約1兆9000億円)に達する。これは世界2位のイタリアに肉薄する規模だ。 しかし最近、デモやストライキが相次ぎ、外国企業の商品を運ぶトラック数千台が襲撃された。こうした事態を受け、バングラデシュに見切りをつける企業が増えているのだ。 すでに、ナイキや、「ティンバーランド」を傘下に抱える米アパレル大手VF社は、バングラデシュでの生産規模の縮小を始めている。英小売大手テスコも、今後は東欧やアフリカに工場を移すという。 バングラデシュから欧州・北米に向けた輸出額は直近四半期で、昨年比5%増と微
