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ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (5)

  • 第5回 ロボットが人間とサッカーをする日は近い

    さて、主にロボカップ・シミュレーションリーグの話をしてきた。 しかし、ロボカップの大会そのものは、それだけでは終わらない。 いずれ、プレイヤーの意思決定を司る人工知能が、シミュレーションリーグから巣立ち、今よりもずっと完成度の高い人型ロボットに搭載される日がやってくる。その日のために、実機の開発と競技も様々なカテゴリーに分かれて行われている。遠大な目標に向けて、全方位展開なのである。 実をいえば、ぼくがロボカップに出会ったのは今回のメキシコシティではなく、2004年ポルトガルのリスボン大会だった。同時期にサッカーのユーロ選手権が同国で行われており、ぼくはそちらを見に行ったのだが、試合がないある日、ふと街角で「ロボカップ」のポスターを見つけ「もうひとつのサッカー選手権」にふらふらと入り込んだ。 鮮明に覚えているのは、当時からシミュレーションリーグは、今ほどではないにしろそこそこサッカーらしい

  • 第4回 本当の賢さとは「自ら賢くなれる」こと

    チーム・ヘリオスは前述の通り、2012年のメキシコシティ大会で、「宿敵」である中国チームを倒し、見事に優勝を果たした。前年の雪辱を遂げたことになる。 では、前年と今年では何が違ったのだろう。 それを問うと、秋山さんは、まず、さらに前の年、2010年に起きたことから説き起こした。この年のシンガポール大会で、チーム・ヘリオスのエージェントは大きな変化を迎えたのだという。 「エージェントといっても要はプログラムなので、もしこういう状況だったらあそこに向かってドリブルをするとか、大量の条件分岐を書かざるを得ないわけなんですね。しかし、それを際限なくやってたら、恐ろしい量のプログラムになって人間が把握できなくなりますし、きちんと動く保証もない。じゃあ、どうするかというと、やっぱりその場で考えさせられるものは考えさせないといけない。将棋なんかで先を読んで、今この手を指したら、この先こういう展開になるか

  • 第3回 “スルッと抜ける”ドリブルの秘密

    大阪府立大学の中島智晴教授は、福岡大・秋山助教よりも、後になってからロボカップ・シミュレーションリーグに参入した。ことロボカップにおいては後輩ということになる。もともとはチーム・ヘリオスではなく、大阪府大の単独チームを率いていた。 「博士論文では知能システム的なものの手法を研究をしていたんですが、教員になってからは、その手法をどこかに生かしたいなと思っていたんですね。エージェントの研究がいいかなと思っていましたら、システム制御情報学会という学会でロボカップのシミュレーションリーグの研究が目に入りまして。じゃあ、やるか、と参加したのが、2002年福岡・釜山大会でした」 秋山さんとは、最初はライバルとして、国内大会でも国際大会でもしのぎを削る関係だったようだ。 「実は、全く及ばなかったんですが、追い付こうと頑張っていました。僕は、賢いエージェントを作りたいんですけど、実際やってみると、賢いもの

  • 第2回 見事なグループ戦術の意外な舞台裏

    ロボカップ2012メキシコシティ大会のシミュレーションリーグに参加したのは、日中国ドイツ、イギリス、イラン、ブラジル、ポルトガル、トルコ、オーストラリア……ぼくがぱっと見ただけでもかなりの国数にのぼった。実機を使わずに済むコンピュータシミュレーションのみのリーグなので、毎年参加するチームの数は多い。そんな中、チーム・ヘリオスは、2010年と2012年に優勝、2009年と2011年に準優勝と輝かしい戦績を残している。 チームの起源は、現在、福岡大学助教の秋山英久さんが、まだ東京工業大学の修士学生だった1999年に遡る。 「修論のテーマを決めなければならなかったんですけれど、そのときの指導教官に、マルチエージェントの研究がやりたいと相談したんですね。すると、ロボカップのシミュレーションリーグというのがあるよと紹介されたのがきっかけです。どうせなら、出場して世界大会に行ってこいと。それで、

  • 第1回「サッカー日本代表」が世界大会で完全優勝!

    ロボカップという世界的な競技会は、なんとなく映画の「ロボコップ」のようにも聞こえるし、NHKが全国放送する高専生や大学生の「ロボコン」のイメージもあって、今の日では正しく認知されていないかもしれない。 実際「ロボカップ」の取材に行くと述べると、「ああロボコンね」と何人もの知人に言われた。 なので、最初に確認すると、ロボカップは、以下のような目標を掲げ、毎年世界のどこかで行われるロボットと人工知能の国際競技会だ。 "By 2050, develop a team of fully autonomous humanoid robots that can win against the human world champion team in soccer." 西暦2050年までに、人間のサッカー世界チャンピオンチームに勝てる、自律型の人型ロボットチームを作ろう! なんともまあ、大風呂敷と感じ

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