昨日の続きの事案、懲戒解雇について書きます。研究者のAさんはネット上の鍵付きアカウントをめぐるトラブル(民事事案)で1か月の停職処分を受けました、また同じ事案で懲戒解雇されました。この2つの処分はいづれも懲戒要件をいくつか満たしていません。つまり手続きに瑕疵があるのです。 <弁明の機会が与えられていない手続き違反> 1か月の停職処分では調査委員会の調査が行われているのに調査報告書が本人に開示されていません。つまりAさんは弁明の機会を与えられていないのです。懲戒解雇ではもともと「処分ではない」として、労働契約が一方的に取り消されていますから、弁明の機会が無かったのは明らかです。 驚くべきことに、この団体の懲戒規定には「弁明の機会を与える」との条項がありません。しかし日本労働弁護団の資料によれば適正手続き違反だけで懲戒解雇を違法と断じた例がないそうなので、他の要件を見なければなりません。他の要