東浩紀(あずま・ひろき)/1971年、東京都生まれ。批評家・作家。株式会社ゲンロン代表。東京大学大学院博士課程修了。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。93年に批評家としてデビュー、東京工業大学特任教授、早稲田大学教授など歴任のうえ現職。著書に『動物化するポストモダン』『一般意志2・0』『観光客の哲学』など多数この記事の写真をすべて見る 東浩紀「世界はいま、日本人の共感能力の欠如に苛立ち始めている」(※写真はイメージ) 批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 * * * ソルジェニーツィンという作家がいる。ソ連時代の収容所経験を描いた作家で、1970年にノーベル文学賞を受賞した。いまモスクワではこの作家の像を建てる計画が進んでおり、コンペが行われている。偶然モスクワにいたので、候補作展示の会場をのぞいてみ