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ブックマーク / lp.p.pia.jp (6)

  • 大槻ケンヂ「今のことしか書かないで」(第27回)連載最終回 今のことしか書かないで(前編)

    「そう、私はリンゴチジョ。ね、町子さん、リンゴって呼び捨てにして。歳も同じ歳だし、去年まで私も金髪にしてたんだ」 「うん、わかったリンゴ。じゃ、私も町子って呼び捨てね。黒髪にはちょっと憧れてる」 「ねぇ……町子、ねぇっ、ねぇっ」 「うん、リンゴ、うんっ、うんっ」 ふたりは互いの名前を呼び合うと、握っていた手を引き合った。リンゴが階段を二段駆け上がって、そうしてゆっくりと互いの体を抱きしめあった。 同じ高さの階段に並んで抱き合うと、リンゴのほうが町子より頭ひとつ背が高かった。しかし、いずれも美しい少女たちだった。 美しい少女たちは抱き合いながら見つめ合い、意外にも気の強そうな町子の方から、とろん、と目を半分閉じて口元の力をゆるりと抜いてみせた。いきなりのキス待ち顔に一ミリも動揺することなく、リンゴは町子の金髪の頭をやわくホールドすると、そーっと唇を合わせた。 そのまま、ぎゅっ、ぎゅっとふたり

    大槻ケンヂ「今のことしか書かないで」(第27回)連載最終回 今のことしか書かないで(前編)
    Tomosugi
    Tomosugi 2024/06/06
  • 大槻ケンヂ「今のことしか書かないで」(第23回)彼女の登場

    推しの子分〜転生したら氣志團だった件〜」とタイトルのついた氣志團のツアーファイナルを観てきた。 驚いた。氣志團のファンが事故で死んで、生まれ変わって氣志團のメンバーのひとりとなってライブに参加する、という、音楽劇仕立てのコンサート演出になっていたからだ。 「え!? へ〜、こういうことをしているんだ」と思わず観ながら声が出てしまった。 氣志團と筋肉少女帯とはフェス・氣志團万博などで数回一緒にやっているし、彼らのツーマンライブも、神聖かまってちゃんとゴールデンボンバーとの時に観に行っている。けれどフェスでは彼らを観る余裕がなかったし、かまってちゃんとの時は、持ち時間終了になってもパソコン抱えて舞台を去らないの子君が、伐採された木のようにスタッフに横抱きにされて連れ戻された光景があまりにインパクトあり過ぎて、申し訳ないが氣志團ライブを覚えていない。 その後に行われたゴールデンボンバーとの時のは

    大槻ケンヂ「今のことしか書かないで」(第23回)彼女の登場
    Tomosugi
    Tomosugi 2024/03/29
  • 大槻ケンヂ「今のことしか書かないで」(第17回)できるまでずっと

    40代から弾き語りを始めて最近はさまざまなミュージシャンとツーマンライブをやっている。先日は茂原でROLLYさんと共演した。 茂原駅にはロッテリアしかべるところがなかった。でもそのロッテリアではなんとラーメンを出していたのだ。嘘じゃない! 当だって。僕はそのラーメンべた。何味だったっけかな? きっと今後、全国のロッテリアでラーメンをメニューに入れる計画があるのだろう。それで実験的に茂原でまずはこっそり出していたのではないか……。 そう思いひとり納得した。ライブのMCでそのことを話したら誰も信じてくれなかった「嘘じゃない! 当だって」お客さんからは「えー??」と言う反応しか返ってこなかった。 「大槻さん、それはロッテリアとラーメン屋さんがふたつ並んだフードコートだったのじゃないですか?」と後でエゴサしたらそういったことを書いているポストがあった。 「うーん、あ、そうかも。そうだね、

    大槻ケンヂ「今のことしか書かないで」(第17回)できるまでずっと
    Tomosugi
    Tomosugi 2023/12/22
  • 大槻ケンヂ「今のことしか書かないで」(第12回)鬱フェス新宿の子犬

    先日、クラブチッタ川崎で行われた「フェス2023」に参加した。神聖かまってちゃん、上坂すみれさん、ベッド・インその他多数のアーティストと共演した。 「フェス」は、バンド・アーバンギャルドが主催している音楽フェスティバルだ。「病気のみなさんこんにちは」というキャッチコピー。さわやかな夏の野外フェスには向かないような、サブカル色が濃いというか、マニアックでコケティッシュなメンツを集めて開催されている。今年で10回目となる。 僕は10回皆勤賞で出演している。3年前の回では新しい学校のリーダーズとコラボして歌った。その時はまさか彼女らがその後世界的にブレイクするとは夢にも思わなかった。素晴らしいことである。 今年は僕があと数年で還暦を迎えるということで、赤いちゃんちゃんこを着せられて「老後じゃないもん MAXX TOSHIYORI」というアーバンギャルドとのセッションで出演することになった。マ

    大槻ケンヂ「今のことしか書かないで」(第12回)鬱フェス新宿の子犬
    Tomosugi
    Tomosugi 2023/10/13
  • 大槻ケンヂ「今のことしか書かないで」(第7回)極楽鳥

    最高のロックンローラーであるPANTAさんが亡くなった。73歳。闘病中とは聞いていたが、急な訃報を七夕の日の昼に知った。 その日は夕方から川口の方面に車で出かける予定があった。車の中でずっとPANTAさんの歌を聴いた。どの曲も、最高だ。 PANTAさんの歌を知ったのは、中学生の頃だったか。多分「兵頭ゆきのセイヤング」かなんかから流れてきた頭脳警察の「ふざけるんじゃねぇよ」という曲を聴いて、僕は勉強部屋で深夜に一人衝撃に打ち震えてしまった。~ふざけるんじゃねぇよ、動物じゃねぇんだぜ~と、パンクロックの出現より早くパンクな言葉を叫ぶPANTAというボーカリストの迫力に圧倒され恐怖さえ覚えた。 深夜放送等の情報などによれば頭脳警察は学生運動の集会でもよく演奏し、反対セクトからステージに投げ入れられた火炎瓶を投げ返しながらライブを続けたという。 やっぱりコワい人なんだな! そう思ってレンタルレコー

    大槻ケンヂ「今のことしか書かないで」(第7回)極楽鳥
    Tomosugi
    Tomosugi 2023/08/04
  • 大槻ケンヂ「今のことしか書かないで」(第2回)50を過ぎたらバンドはアイドル

    ここ二週間の僕のトピックをあげるなら、「50を過ぎたらバンドはアイドル」という筋肉少女帯の新曲が完成した。 「50を過ぎたら……」当にその通りだと思っている。存在の非日常性、不条理感、幻想度……ウソっぽさ、すべてにおいて50歳を超えたロックはアイドル的だ。 だって、そうでしょう。 来なら若者のために作られた音楽ジャンルをがっつり初老になってまだやり続けているのだ。“ヤング”という基概念と光の速さで乖離していくのは当然のことだ。社会への反発、大人への抵抗、そんなメッセージを50過ぎて叫ぶ者があるなら前者はメンドーなツイッター民だし後者はヘンなおじさんだ。 「大人は信じられない!」と憤っている輩が憤る矛先より20も30も歳上なのだ。何よりいい歳をしてライブとかやっているのがおかしいよ、ということだ。エレキギターをギュンギュン鳴らしたりドラムをドコドコ叩いたり「やかましい! 君たちは学生さ

    大槻ケンヂ「今のことしか書かないで」(第2回)50を過ぎたらバンドはアイドル
    Tomosugi
    Tomosugi 2023/05/24
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