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ブックマーク / www.chuko.co.jp (11)

  • 私をつくった中公新書/読書猿

    森毅/竹内啓『数学の世界 それは現代人に何を意味するか』 安西祐一郎『問題解決の心理学 人間の時代への発想』 稲垣佳世子/波多野誼余夫『人はいかに学ぶか 日常的認知の世界』 中公新書について書く機会をいただいた。私は新書と文庫で育った人間なので(若い頃、高い学術書はいろんな意味で手が届かなかった)、思い出す中公新書は数え切れないほどある。しかし3冊を選ぶ、という約束なので、ここでは、自分が書いたり考えたりしているもののきっかけとなることで、今の読書猿をつくってくれた中公新書たちを取り上げたい。 『数学の世界』(通巻番号317)は、性向も文体も読者層もまるで異なると思われる二人、森毅と竹内啓を会わせる(合わせる)企画が愉快である。 対談、座談の多い印象のある森だが、このはその中でも出色の一品。大抵の場合、森毅のキャラクターが場の空気を制圧して、対談全体がゆるくホニャララなものになってしまう

    私をつくった中公新書/読書猿
    Tomosugi
    Tomosugi 2021/01/03
  • 選挙に疑問を感じたら/菅原琢

    西平重喜『比例代表制 国際比較にもとづく提案』 加藤秀治郎『日の選挙 何を変えれば政治が変わるのか』 待鳥聡史『代議制民主主義 「民意」と「政治家」を問い直す』 記録を取っていたわけではないが、『比例代表制』(中公新書615、1981年)に筆者が出会ったのは15の夏ということは確かである。各国の選挙の仕組みについて学ぼうと思い立ち、市立図書館で借りた数冊の中に含まれていたのである。 書の印象は、同時に借りた学術書の類とは異なり各種選挙制度がわかりやすくコンパクトに整理された、まさしく自分がもとめていただ、というものだったと思う。当時は意識していなかったが、同書を含むいくつかの選挙制度解説書は、筆者の新書との出会いでもあった。 タイトルとは異なり、同書は中選挙区制(日)、小選挙区制(イギリス)と比例代表制とは"反対側"の選挙制度の解説が序盤を占める。これは、読者が慣れ親しんだ選挙から

    選挙に疑問を感じたら/菅原琢
    Tomosugi
    Tomosugi 2020/12/16
  • 西洋美術の歴史 全8巻 創業130周年記念出版|特設ページ|中央公論新社

    ギリシア・ローマ美術は後世、美の「古典」とされ、時代と地域を超えて憧憬の的となった。けれど作られた当時、それらは美しいだけでなく、篤い崇敬を集める信仰の対象であり、神話と歴史の語り部であり、計算された政治メディアでもあった。神に捧げる完璧な肉体の表現を極めたギリシア美術、多様な人々に向け幾重もの意味を担ったヘレニズム美術、皇帝顕彰の彫刻が帝国各地で作られたローマ美術......西洋美術の歴史がここに始まる。 序章 エーゲ海文明の記憶 西洋文明にとっての古代ギリシア/エーゲ海文明(前三二〇〇〜前一一〇〇年頃)/ミノス文明(前三二〇〇〜前一一〇〇年頃)/ミュケナイ文明(前一六〇〇〜前一一〇〇年頃)/「暗黒時代」(前一一〇〇〜前八〇〇年頃)/神話と青銅器時代の記憶 ❖コラム ギリシア神殿の起源をめぐって 第1章 ギリシア美術の曙 1 美術様式と時代 歴史時代の始まりと考古資料/原幾何学様式時代(

  • 東浩紀の仕事場

    哲学者、批評家で、株式会社ゲンロン代表を務める東浩紀さん。 ゲンロンは、言論誌『ゲンロン』の出版や、イベントスペースで講演やセミナーをしている「ゲンロンカフェ」、さまざまな講座を展開する「ゲンロンスクール」の運営などを行っている。 多角的な事業を展開する東さんの仕事場、ゲンロン代表執務室(品川区)を訪ねた。 実は、代表執務室の完成は2018年の3月で、取材時は引っ越して間もなかった。棚の新しい木の香りが心地よい。 「社員が増え、オフィスが手狭になったので、代表の執務室を新しく別の場所に作った」のだとか。設計のこだわりをうかがうと、入り口から「の道が続く」ようにしたのだという。 「以前いたオフィス以外に、カフェとアトリエも五反田にあります。家賃も安いし、交通の便もとてもよくて、非常にいいところですよ。この執務室で五反田の拠点が4つになりました」 4拠点ですか! と驚く編集者に「“五反田バ

    東浩紀の仕事場
  • 『トラクターの世界史』/藤原辰史インタビュー

    『トラクターの世界史』を上梓した藤原辰史さん。19世紀末にアメリカで発明されたトラクターが、人類の歴史をどのように変えたのか描いた意欲作です。トラクターという着眼点や執筆時の苦労などをうかがいました。 ――トラクターへの関心はいつ頃からですか。なぜ、『トラクターの世界史』を描いてみたいとおもったのですか。 藤原:小学生の頃、山に囲まれた田舎の春のよく晴れた日でした。祖父が田んぼで運転しているトラクターがとても格好よくて近くで見てみたいとおもいました。近寄ろうとすると、「危ない! 近寄るな!」と祖父が怒鳴りました。彼の怒鳴り声が、わたしにとってのトラクターの原体験です。 普段は無口な祖父でしたが、騒音と振動が激しいトラクターがどれだけ危険な乗り物であるのか、孫を事故に巻き込んだ事例があとをたちませんでしたから、伝えたかったのでしょう。そういえば、機械を扱うときは、いつも怒鳴っていました。 研

    『トラクターの世界史』/藤原辰史インタビュー
    Tomosugi
    Tomosugi 2017/12/24
  • 受賞作一覧|web中公新書

    受賞作一覧 以下は順不同。 毎日出版文化賞 第17回 宦官 三田村泰助著(人文・社会部門) 第18回医学の歴史 小川鼎三著(自然科学部門) 第19回日の大学 永井道雄著(人文・社会部門) 第19回疎開学童の日記 中根美宝子著(人文・社会部門) 第20回太平洋戦争(上・下) 児島襄著(人文・社会部門) 第21回マヤ文明 石田英一郎著(人文・社会部門) 第22回騎馬民族国家 江上波夫著(人文・社会部門) 第24回お医者さん なだいなだ著(自然科学部門) 第25回実録 アヘン戦争 陳舜臣著(人文・社会部門) 第26回ルワンダ中央銀行総裁日記 服部正也著(文学・芸術部門) 第27回知的好奇心 波多野誼余夫・稲垣佳世子著(人文・社会部門) 第27回日の科学思想 辻哲夫著(自然科学部門) 第30回ミュンヘンの小学生 子安美知子著(人文・社会部門) 第33回大久保一翁 松岡英夫著(人文・社会部門)

  • 松田美佐の仕事場

    うわさやケータイ電話などから、メディアの利用調査、コミュニケーションの研究を進めてきた松田美佐さん。その仕事場を訪問しました。 資料類の大半は大学の研究室にあるが、メインの執筆場所はご自宅とのこと。2010年に建てられたご自宅の2階には、3畳程度の吹き抜けの執筆スペースがある。下はリビングで、お二人のお子さん(現在、高校生の男の子と中学生の女の子)が小さい頃は、様子を見ながらお仕事をしていたという。 『うわさとは何か』は2014年刊行ですが、今はどんな研究を? 「新しいこととしては若者のグローバル志向についてですね。それと、大都市の若者と地方都市の若者のメディア利用の差異を調べています。利用しているSNSの違いや、接触するシーンや時間などについて、現地でのインタビュー調査や質問紙調査を行いました。”うわさ”は私自身の卒論からの研究の柱ですが、パーソナルな領域のコミュニケーションに関心がある

    松田美佐の仕事場
  • 効果的な勉強のために/千葉雅也

    熊野純彦編著『日哲学小史 近代100年の20篇』 立木康介編著『精神分析の名著 フロイトから土居健郎まで』 川喜田二郎『発想法 創造性開発のために』 今日ほど、自由に勉強をするための環境が整っている時代はない。 ネットの情報はノイズだらけであるとはいえ、J-STAGEなどに集積された査読論文を手軽に読むことだってできる。格的な資料がある。そして紙のに目を向ければ、2000年代から、良質な入門書やアンソロジーの出版が飛躍的に増えている。いまや、第一級の研究者が、フラットな言葉づかいで、分野の森に奥深く入っていくためのガイドを務めてくれるのである。 僕は大学の授業でもいつも、「新書や選書で出ている信頼できる著者の入門書を読め」と繰り返し言っている。たとえば、哲学をやりたいというときに、カントなりハイデガーなり、いきなり当の哲学書に向き合えというようなアドバイスをする人がいるが、それは一

    効果的な勉強のために/千葉雅也
  • ご挨拶代わり

    10月20日、web中公新書がスタートします。 中公新書について、より多くの情報を読者の方に伝えるべく、さまざまな発信をしていきます。「知の現場から」「私の好きな中公新書3冊」「著者に聞く」などのコーナーでは、より深い情報もお伝えしていきます。 合わせて、教養、知識、ジャーナリズムといったものに、多少なりとも貢献できればとも思っています。「が売れない」といった話ばかりが語られる出版界ですが、新たな活路になると信じています。 時間がある折、少しでも訪れて下さればうれしいです。 弊社発足130周年、2016年の秋

    ご挨拶代わり
  • 『応仁の乱』/呉座勇一インタビュー

    応仁の乱なんて聞いたことがない、という日人はまずいないだろう。室町幕府の衰退を決定づけ、戦国時代の扉を開いたとされるこの大乱をめぐって近年、新説が登場し、学界でも議論が高まっているという。『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』を著した呉座勇一さんに話を聞いた。 ──8代将軍の足利義政には息子がなく、弟の義視(よしみ)を後継者にしたところ、義政のである日野富子が男児(のちの9代将軍義尚)を出産。富子は我が子を将軍にしようと画策して乱を引き起こした、などとも言われます。 呉座:かつては日野富子悪女説が有力でしたが、最近は富子の関与はかなり限定的だったと考えられています。足利義政が無能だったからという見方も単純すぎます。銀閣造営など文化事業にしか興味がなかった人と見られがちですが、義政の実際の行動を見ていくと、将軍としての自覚を持って政治に取り組んでいたことがわかります。応仁の乱に関しても、戦争

    『応仁の乱』/呉座勇一インタビュー
  • 第九回 高野文子 陰翳礼讃|マンガアンソロジー 谷崎万華鏡|特設ページ|中央公論新社

    『陰翳礼讃』は、乾 正雄さんという人の書いたのなかで、最初に知りました。 『夜は暗くていけないか』というタイトルのでした。 日建築の入光のことが書いてある箇所でした。 わたしが、畳の部屋を漫画のなかに描くときに、思い出すです。 今回、谷崎の『陰翳礼讃』を読み直し、一部分だけを抜き出してコマにしました。 谷崎の文章では、『文章読』が好きです。 これを漫画にしたいと思うくらい好きなのですが、バカと言われそうなのでやめました。 小説はお許しください。 今までいろんな方から、お読みなさいって勧められたのですが、体に合いません。 たかのふみこ 1957年新潟県生まれ。看護士として勤める傍ら、79年に商業誌デビュー。82年に日漫画家協会優秀賞、2003年に手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。作品集に『絶対安全剃刀』『おともだち』『るきさん』『ドミトリーともきんす』などがある。漫画作品の他に絵

    Tomosugi
    Tomosugi 2016/01/02
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