まるでスコットランド独立投票の再現6月23日に行われる英国のEU離脱投票が、まるで2014年のスコットランド独立投票直前のような様相を呈してきた。 首相も野党第一党の党首も国民に残留を呼び掛けているし、離脱派の右翼政党UKIPも数年前の勢いは失っている。それなら余裕で残留派が勝ちそうなものだが、ついに離脱派がリードという世論調査結果まででてきた。世論調査は会社によって微妙に数字が違うものだが、6月6日に発表されたYouGovの世論調査では、45%がブレキジット(BREXITーーBRITAIN +EXITの造語)、つまり離脱を希望しており、41%が残留希望という数字が出ている。 「いやー、もう今回は、何もかもすべてが分裂しているね」 とわたしの配偶者も感慨を述べているように、保守党と労働党の二大政党が「残留派」と「離脱派」に別れて党内分裂しており、特に保守党は次期首相の座を狙う元ロンドン市長
仏リール・ビルヌーブダスク・アウトサイダーアート近現代美術館に展示される伊画家アメデオ・モディリアニの作品を鑑賞する女性ら(2016年2月26日撮影、資料写真)。(c)AFP/FRANCOIS LO PRESTI 【4月12日 AFP】第2次世界大戦(World War II)中にナチス・ドイツ(Nazi)によって略奪されたとみられる伊画家アメデオ・モディリアニ(Amedeo Modigliani)の絵画が、スイス・ジュネーブ(Geneva)で押収された。当局が11日、明らかにした。パナマの法律事務所から流出したいわゆる「パナマ文書(Panama Papers)」により、現在の所有者が特定されたことがきっかけだったという。 ジュネーブ司法当局の報道官がAFPに明かしたところによると、「パナマ文書に関連した新事実の枠組みの中で、刑事手続きが始まった」という。同報道官は、問題の絵画は「先週後半
中国案に決まったと思われていたインドネシアの高速鉄道計画(東洋経済)が、暗礁に乗り上げているようだ。最終的に二大主要都市であるジャカルタ-スラバヤ間を結ぶ計画で、まずはジャカルタ-バンドン間の路線を造るものだが、もともとは日本が関わってきた*1のを、入札が停止された後に相対契約と言う不自然な形で中国国営企業が契約に漕ぎ着けた。こういう経緯からネット界隈では中国が悪いように言う人が多いようだが、インドネシア側にかなりの不備があるように思える。むしろ、インドネシア側の想定通りに右往左往しているのでは無いであろうか。 中国はインドネシア政府の財政負担が無いBTO方式を提案したと言われていたが、最近の報道では実質的な政府保証を求めてきているようだ(読売新聞)。中国側が嘘をついていたように思う人が多いようだが、決定段階でしっかり詰めていなかった事が分かる。認可の申請書の一部が中国語のままと言うのも、
経済的独立すなわち自由は、世の中の仕組みを正しく理解し、最適な人生の戦略をデザインすることで、もっとも確実に達成できる。 世の中(世界)はどんな仕組みで動いているのだろう。そのなかで私たちは、どのように自分や家族の人生を設計(デザイン)していけばいいのだろうか。経済、社会から国際問題、自己啓発まで、さまざまな視点から「いまをいかに生きるか」を考えていきます。質問も随時受け付けます。 橘 玲の最新刊『幸福の「資本」論 あたなの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』好評発売中! 「幸福な人生」を送るために幸福を定義すると基盤となるのは3つの資本。その組み合わせで8つの人生パターンが考えられる。あなたが目指すべきはどの人生パターンか? ダイヤモンド社から発売中!(1,650円 税込) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【DIAMOND PREMIU
メキシコの麻薬組織のニュースは日本でも盛んに報じられるようになった。大半は政治家や地元警察の幹部が殺されたとか、死体をバラバラに切り刻まれたとか生首が晒されたといった残酷極まるもので、相次ぐ目を覆いたくなるニュースに、メキシコで今何が起きているのかと驚かされる。 本書は、近年激化の一途をたどるメキシコの麻薬組織抗争と政府の衝突について、著者が現地で当事者たちから丁寧な取材を行い、その全体像を明らかにした一冊である。第一部(第二章~第七章)では麻薬組織台頭の歴史が、第二部(第八章~第十二章)では麻薬取引の様子から生活、文化、信仰、殺し屋たちなどマフィアの実像が、第三部(第十三章~第十六章)では、現在の拡大するメキシコの麻薬組織の影響力、政府と組織、組織間の対立の構図、グローバル化するネットワーク、そして今後の展望について、400ページ以上、充実のボリュームで描かれている。 本書の第一部約15
天津で8月12日に起きた化学薬品倉庫爆発事故(あるいは事件)はすでに死者・不明者が200人を超えている。現地は建設現場従事者や港湾労働者も必要とされる地区なので、地元当局すら、事故発生当時、そこにどれだけの人がいたかを把握していなかったかもしれない。しかし、100人単位の死者を出す人災事故・事件は中国では非常にまれなことではなく、例えば今年、長江クルーズ船の沈没事故も430人以上の死者・不明者を出している。 ただ、今回の件で特徴的だったのは犠牲者・不明者の約半数が消防士であったことだ。建国以来、一度にこれほど多くの消防士が殉職する火災は初めてである。そして、この爆発自体、消火にあたった消防士の放水が引き起こしたという。本来、火災発生時に市民の生命を守る消防士たちが、最大の加害者であり犠牲者であったこの大惨事の背後にどういった問題があったのだろう。 なぜ化学薬品に放水? 事件はすでに詳報され
さて、本日はFIFAの話である。 ちょっと前から、 www.47news.jp こんな具合のFIFAの汚職関連のニュースがサッカー論壇では話題になりまくっており、そろそろ僕も一つエントリ書いておこうと思った次第である。ざーっと、話題になった記事を読んだ感じ、FIFAの内部の政治について、詳しく書いてる記事がそんななかったので、今回の記事は、そっちに焦点あてて書こうと思う次第である。 www3.nhk.or.jp ちなみに、ブラッターなんだが、UEFAのプラティニに「辞任したら?」とか言われつつ、あっさり当選をキメてしまった。ブラッターの政治力マジ半端ない。 今回のFIFAの汚職話なんだけど、その前にFIFAの組織の話 まず、この話から始めよう。 今回のFIFAのスキャンダルが出た時、FIFAの組織の話が全然話題になっていなかったので、まずココから入る。これを理解しないと、今回の話は理解でき
安倍総理大臣は日本時間の30日未明、アメリカ議会上下両院の合同会議で、日本の総理大臣として初めて演説しました。演説の全文です。 私個人とアメリカとの出会いは、カリフォルニアで過ごした学生時代にさかのぼります。家に住まわせてくれたのは、キャサリン・デル・フランシア夫人、寡婦でした。亡くした夫のことを、いつもこう言いました、「ゲイリー・クーパーより男前だったのよ」と。心から信じていたようです。ギャラリーに、私の妻、昭恵がいます。彼女が日頃、私のことをどう言っているのかはあえて聞かないことにします。デル・フランシア夫人のイタリア料理は、世界一。彼女の明るさと親切は、たくさんの人をひきつけました。その人たちがなんと多様なこと。「アメリカは、すごい国だ」。驚いたものです。のち、鉄鋼メーカーに就職した私は、ニューヨーク勤務の機会を与えられました。上下関係にとらわれない実力主義。地位や長幼の差に関わりな
For English translation click here. 日本のメディアにおいて「イスラム国」と称されている過激派組織の行いは、イスラームの教えとはまったく異なるものです。イスラームにおいて、テロ行為や不当な殺人、迫害は禁じられており、また女性や子どもの権利は尊重されなければなりません。 「イスラム国」という名称にイスラムという語が入っているために、本来の平和なイスラームが誤解され、日本に暮らす大勢のムスリム(イスラーム教徒)への偏見は大変深刻です。 エジプトにあるイスラームスンニ派最高権威のアズハルからは、昨年9月、この過激派組織に「イスラム国」の名称を使用するのは不適切であり、イスラームとムスリムに対して不当であるとの声明が発表され、海外のメディアに「イスラム国」の名称を用いないよう要請がありました。 しかし、日本のメディアでは、この要請が実現されておらず、国際社会が国家
「イスラム国」による日本人人質事件について思ったことをとりあえずブログに記しておきたい。 ツイッターのほうではすでに前もってコメントしたが、72時間の期限でのリアクションはないだろうと私は見ていた。理由は、どちらかというと「イスラム国」に対して欧米ほど危機感ももたず、脅威にも感じていない日本国民を、期限通りの処刑によって激怒させ、その結果いっそう欧米側に付かせることにすれば「イスラム国」にとって利益にはならないだろうと思われたからだ。 「イスラム国」としては国際世界が一致するよりは、割れていたほうがよい。この手法は北朝鮮の外交戦略と同じである。ついでにいえば、西側諸国としても中東の利害は割れていたほうが、ローマによる分割統治的な意味合いで、利益にはなる。ただしシリアに端を発した今回の事態は三すくみのような複雑な分割にはなり、誰が利益かという構図は崩れてしまった。 「イスラム国」側の思惑だが
池内恵(いけうち さとし 東京大学准教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について、日々少しずつ解説します。有用な情報源や、助けになる解説を見つけたらリンクを張って案内したり、これまでに書いてきた論文や著書の「さわり」の部分なども紹介したりしていきます。
1月20日、イスラーム国による日本人の人質事件が発覚しました。2人の日本人の解放に2億ドルという法外な条件を課してきたイスラーム国は、これによって世界各国の関心を引きつけました。恐らく彼らの最大の目的は、戦闘員や共感者、協力者のリクルートのための宣伝にあるとみられますが、この目的はある程度成功したといえます。 この文章を書いている時点で、既に期限の72時間は過ぎましたが、今のところ次のアクションは発生していません。日本政府はイスラーム国と接触し、引き伸ばしを要請しているとも伝えられています。一方、世界一の産油国で、メッカとメディナという二聖地を擁する「イスラーム圏の盟主」サウジアラビアのアブドゥラ国王の死去が23日に発表されました。これにより、イスラーム圏、アラブ圏の関心がそちらにしばらく集中するだろうことも、想像に難くありません。その状況はイスラーム国にとってスポットが当たりにくいことを
中田考さん(イスラム法学者でムスリム)が叩かれてるようなので、ちょっとだけフォローしたい。 (なお自分はムスリムではないし、かの美しいと有名なクルアーン(コーラン)も注釈でしか触れたことがない) ワリと面倒くさい宗教であるイスラーム六信五行なんて訳されることもあるが、ムスリムは義務としての決め事が多い。 判りやすいところでいくと、ザカート(Zakat)というのがあって、これは義務的な施しにあたる。 翻訳の難しいところで、これは税金として解釈されることもあるし、喜捨つまり寄付の一種と看做されることもある。 財産税による社会福祉と言うのが実体に近く、アッラーフに寄進して、それを皆が使う、という再分配機能になっている。 と、言うようにイスラームというのは宗教であるのだが、その根幹が社会制度になっている。 王様が世捨て人を経て悟った宗教とか、大工の息子が突如悟って国教になっちゃった宗教とは違い、
日本人がテロ組織に誘拐され、身代金を要求されると祖国で必ず出て来るのは「危険な地域に自分で行った」「自業自得」といった議論だ。 で、わたしが住んでいる英国は、人権を重んずる欧州国にしては珍しく身代金を払わない国として有名である。それどころか、キャメロン首相は2014年1月に「テロ組織の身代金要求を断固と拒否する」決議案を国連の安全保障理事会に提出して採択を要求したほどであり、加盟国は当該決議を全会一致で採択している(しかし、この決議を守っているのは英国と米国だけで、フランス、イタリア、スペイン、ドイツはこっそりテロ組織に金を流す経路を見つけて身代金を払っている)。 英国が身代金を払わない理由は、「自己責任で現地に行った個人のために血税を使うな」とかそういうことではない。テロ組織は身代金を資本として軍備を拡大し、新たなテロリストたちをリクルートして強大になって行くからだ。例えば、アルカイダ・
アメリカはテロリストに身代金を払わない。「国民が誘拐される→国が身代金払う→もっと誘拐される」という負の循環を断ち切る(そしてテロリストに活動資金を提供しない)ためだが、これに関する記事が半年ほど前New York Timesに掲載された。ISIS(イスラム国)より歴史の長いアルカイダによる誘拐について、身代金相場など具体的な数字を含むなかなか興味深い内容なのだが、やたらに長いのでお勧めしても読む人は3人くらいだと思う。なので以下要点を日本語でまとめてみました。 アルカイダ誘拐の歴史 アルカイダは設立当初は裕福な支援者からの援助で運営されていたが、現在ではヨーロッパからの身代金が主たる資金源と考えられている 2003年に人質32人の身代金としてドイツが500万ユーロ払ったのが「アルカイダ誘拐ビジネス」の始まり 2004年にはアルカイダ活動員が誘拐のハウツーガイドを発行 身代金の多くは、民間
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