1.はじめに グリコーゲン、でん粉、セルロースなど生体エネルギー源や細胞・組織の構築材料としての糖質は昔から知られている。それとは違った“糖”、すなわち、主に細胞表面に存在していてタンパク質や脂質に結合している糖の鎖が「糖鎖」として存在している。最近、「糖鎖」が、核酸、タンパク質に次ぐ第3の“鎖”として脚光を浴びている。糖鎖研究に関しては本誌2002年1月号「特集:第三の生命鎖糖鎖とポストゲノム解析」1)にまとめられている。以後、プロジェクト研究も立ち上げられ、糖鎖研究が推進されている。本稿では、糖鎖研究からより多くの成果を得るためには、現在の糖鎖研究推進施策に加えて、分子レベルでの糖鎖の機能解析を加速することを可能にする「グライコインフォマティックス」という新しい研究の推進が必要であることについて述べる。 2.糖鎖の構造的な特徴と役割1〜4) 2‐1. 構造的な特徴