摂食障害は、神経性食欲不振症(anorexia nervosa、いわゆる拒食症)や神経性過食症(bulimia nervosa、いわゆる過食症)に大別することが出来る。実際は両者の間を行き来するケースも多いので完全に分けて考えることは出来ないものの、拒食だけの症例や過食が目立つ症例が存在するのは確かだ。 平成がまだ一桁で、私が大学生だった頃は「日本では拒食症のほうが目立つ」「拒食症は栄養失調の果てに死亡するケースがあり、一割近くが死亡する」「過食症は頻度は少ないものの病理は重く予後不良」と習ったものだ。授業でピックアップされるのはたいてい激やせ症例で、強烈なやせ願望を抱え骨と皮ばかりになった拒食症ばかりが取り上げられていたような気がする。 数年後、大学病院を出たルーキーの私を待っていたのは、「拒食だけの人と、過食の混じった人が半々ぐらい」という状況だった。なんだかんだ言っても、摂食障害は若