1979年に発生した米国スリーマイル島原発2号炉(TMI-2、PWR、96万kW)事故から、今年の3月28日で18年が経過した。今年の2月、TMI周辺でガンが増加しており、その原因は事故時に放出された放射能であろう、という論文が発表された(S. Wingら、Journal of Environmental Health Perspective, Vol.105, January 1997)。TMI原発周辺でガンが増えているという話はずいぶん前から聞いていたが、その後の流れをキチンとフォローしておらず、不勉強で申しわけないが、Wing論文の内容について紹介しておきたい。 Wingらがその研究に取り組んだ動機のひとつは、TMI周辺住民の被曝量が、これまで定説とされたきた値よりかなり大きかったのではないかという疑問である。TMI事故の調査にあたった大統領委員会の報告では、周辺住民の最大被曝量は、