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朝鮮半島を南北に隔てる軍事境界線上の板門店で会談し、互いの手を挙げる韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領(右)と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(2018年4月27日撮影)。(c)AFP PHOTO / Korea Summit Press Pool〔AFPBB News〕 シンガポールにおいて米国のトランプ大統領と北朝鮮の金委員長の歴史的な会談が開催されることになった。それに関連して多くのことが語られているが、ここではちょっと視点を変えて、ベトナムの歴史からこの問題を考えて見たい。 ベトナムと朝鮮半島を比較するのは、どちらも歴史の中で中国の強い影響力の下にあったためだ。日本と同様に、両国は中国から漢字、儒教、そして大乗仏教を輸入した。 海を隔てていた日本と異なり、両国は文化的影響だけでなく軍事的、政治的な脅威も受けた。朝鮮半島が中国の植民地になることはなかったが、ベトナ
(英エコノミスト誌 2014年5月31日号) 日本で初めて、移民に関するしっかりとした議論が始まっている。 安倍晋三氏が2012年に首相の座に返り咲いて以来、掲げられてきたスローガンは、日本を長期にわたるデフレスパイラルから脱却させる、ということだった。だが、人口がどの国より速く高齢化し、減少している時は、それは口で言うほどたやすいことではない。 今年5月、あるシンクタンクは向こう30年余りの間におよそ1000の地方の市町村で出産適齢期の女性がほとんどいなくなると予想した。政府は、今後50年間で現在1億2700万人の日本の人口が3分の2に減少すると予想している(図参照)。 実際、政府は2110年には、日本人の数がわずか4300万人になると予測している。 最後の予想は、非科学的な外挿だ。100年後の日本がどうなっているかなど誰にも分からないからだ。それでも、この予側は政府が懸念を募らせている
ここ数年、私の本務校である東京大学でも、学生向けに値引きのないプロフェッショナルの音楽のレッスンをするようになりました。 と言っても、学生は一般の入試で入ってくる子供たちですから、プロフェッショナルベースの音楽のトレーニングは受けていません。そこで授業協力者の形で、トッププロの皆さんにご一緒していただきながら、オペラを一緒に考え作っていく、というレッスンをすることにしました。 昨年はヴァーグナーの「トリスタンとイゾルデ」全曲を授業で作っていくカリキュラムを組みました。ヴァーグナーのオペラは彼自身の命名で「楽劇」と呼ばれ、作曲者自身が書き下ろしたドイツ語の歌詞が歌われます。 通常の音楽制作日程では、楽譜に歌詞が書き込んであるわけですから、それを見ながらソリスト、また合唱の歌手たちは練習してレパートリーをマスターし、次いで演出がついて舞台を作っていく、そういうプロセスを(どこの国でも)踏みます
この秋、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が来日する予定だ。安倍政権は、北方領土問題の解決と平和条約の締結へ向けて大きく前進する構えだ。ウクライナ危機がこの流れにブレーキをかけているが、国境問題研究の第一人者である山田吉彦・東海大学教授は「今が北方領土返還の大きなチャンス。交渉を止めるべきではない」と説く。 ロシアは欧米との関係が悪化する中で、日本からの経済・技術協力と日本への天然ガスの販売によって極東ロシアを発展させたいと考えている。一方日本にとってロシアとの関係強化は北方領土の返還を実現させ、中国の軍事的な脅威を抑えるテコとなる。日ロ双方に交渉を進める利点があるのだ。柔道家であるプーチン大統領が言う「引き分け」は、そのことを示唆しているとも言える。 むろん「北方4島は自国の領土」が公式見解であるロシアとの交渉は容易ではなく、虚々実々の駆け引きを伴う。日本の国益に沿った解決をどう実現す
数週間前は欧州の人間でさえ、ウクライナの出来事にあまり関心を払っていなかった。今では全世界が見つめている。というのは、ロシアによるウクライナ侵攻は一般に、米国主導の世界秩序に対する直接的な挑戦と見なされているからだ。 もしロシアのウラジーミル・プーチン大統領が何の代償も払わずに済めば、中国やイランなどの国の政府は、米国に挑むリスクが低くなっていると判断するかもしれない。 ワシントンのバラク・オバマ米大統領の政敵は、大統領はシリアでの武力行使を巡って怯み、イラン、中国との交渉で弱さを見せたと主張する。2008年の大統領選挙でオバマ氏に負けたジョン・マケイン上院議員は、ウクライナ危機は「無気力な外交政策がもたらした究極の結果であり、もう誰も米国の強さを信じなくなった」と述べている。 だが、「弱いオバマ」という物語は大事な点を見落としている。これは、ソ連という頑なな敵との世界的な戦いにおいて歴代
(英エコノミスト誌 2013年11月9日号) 日本の大企業は表向きはアベノミクスを支持しながら、内心では警戒している。 日本の文化は、正直な気持ちを意味する「ホンネ(本音)」と、公の場で言わなければならない「タテマエ(建前)」の区別を非常に重視する。 日本の安倍晋三首相が昨年返り咲きを果たす直前、大企業のロビー団体である経団連の米倉弘昌会長は、経済を再生させるための安倍首相の大胆な戦略「アベノミクス」について本音をもらすという重大な過ちを犯した。アベノミクスが提唱する金融政策の大幅緩和は「無鉄砲」だと述べたのだ。 米倉会長は発言を撤回したが、安倍政権から冷遇された。以来、企業経営者たちは建前を貫き、アベノミクスを支持する当たり障りのない発言に終始している。ただ、内々には、多くの経営者はあまり熱心ではない。 安倍首相の率いる企業寄りの自民党が政権に返り咲いた際、大企業は大喜びした。それまでの
国会論戦の席で「明後日解散する」と明言した首相は、おそらく憲政史上例がないことだろう。解散を求めていた自民党や公明党も予想だにしていなかった。民主党内でも、事前に知っていたのは岡田克也副総理、藤村修官房長官ら、ごく少数だったと言われている。輿石東幹事長ですら、当日聞かされたという。 大した決断である。「嘘つき」などという低レベルの批判は、これで一気に吹き飛んだ。自民党の安倍晋三総裁は、受けて立つとかろうじて見得を切ってみせたが、心の動揺はテレビ画面からも伝わってきた。 私の手元に、複数の閣僚経験もある自民党衆議院議員の政治資金集めのパーティーの案内状がある。日にちは12月17日で場所は都内のホテルとなっている。とぼけた案内状になってしまった。まさか12月16日の投票日の翌日に開くことはないので、中止になることは確実だ。 年内解散をあれだけ強く迫っていた自民党だが、実は腹の中では想定していな
日本人が日本人であることの誇りを失ったのは、戦後GHQの占領政策にまんまと嵌った左翼的な教科書作りに負うところが大きいと、『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』の著者、竹田恒泰氏は言う。 同書では、英国BBCの世論調査で日本が2006年から3年連続「世界に良い影響を与えている国」第1位になったことが紹介されている。 一方、日本人の自国に対する評価は、他の国と比べて肯定(良い影響)の割合が極めて低い。 この自虐的な自己評価の原因は何か、なぜ日本人は日本の良さに自信が持てないのか、竹田氏に聞いた。 神話も、建国の経緯も教えないのは日本だけ 竹田 恒泰(たけだ・つねやす)氏 作家。慶應義塾大学講師(憲法学)。1975年、旧皇族・竹田家に生まれる。明治天皇 の玄孫に当たる。2006年に著書『語られなかった皇族たちの真実』(小学館)で山本 七平賞を受賞。その他著書に『ECO.MIND【エコ・マイ
全ての隊員が口を揃えた。福島第一原発に放水をするため、陸上自衛隊のヘリコプター「CH-47」が出動することになった時のことだ。 「任せろ、これくらい大したことはないさ」「今、無理しなくてどうする」 被曝覚悟の作戦にもかかわらず、そんな声があちこちから聞こえてくる。 同原発では、3月14日に3号機で放水作業中に水素爆発が起き、4名のけが人も出た。その中には、中央特殊武器防護隊長もいた。事故に遭った隊員は後送されるのが通常だが、隊長は下がることを強く拒んだという。 「あの、温和なアイツがそんなことを・・・」 同期の幹部自衛官が絶句した。とても、そんな無理をするタイプに見えなかったが、何が彼にそう言わせたのだろうか。 車座になって涙を流す隊員たち 原発への放水作業だけではない、被災現場での救援でも厳しい状況は同様だ。氷点下の気温の中で作業を続けるが、燃料を使うわけにはいかないと、暖をとることもな
まさに「継続は力なり」である。サントリーのビール事業が1963年の参入以来、2008年に初めての黒字化を達成した。 「非上場企業だから続けられた」と言えばそれまでだが、それにしても、よく今まで撤退しなかったものだ。初志を貫いて事業を継続すれば、いつかは実を結ぶ。その格好のモデルケースとなるのだろう。 ビール事業だけではない。やはり利益を挙げてきたわけではないが、サントリーが決して撤退しようとしない事業がある。美術や音楽など芸術文化を支援する「文化事業」だ。いわゆるメセナ活動である。 もともとサントリーは、社会との結びつきを非常に強く意識している会社だ。創業社長の鳥井信治郎氏は「やってみなはれ」という言葉で有名だが、鳥井氏の経営哲学を語るうえで欠かせない言葉がもう1つある。それは「利益三分主義」という言葉だ。 企業は社会の一員であり、社会とともにある。だから事業で得た利益は会社や株主、社員の
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