この夏、『希望のごはん』(日経BP社)という本が発行されました。著者は料理研究家のクリコさん。最愛の夫アキオさんが、50代前半にして口腔(こうくう)底がんにかかり、固形物が一切食べられなくなってしまったとき、クリコさんは、病院で出されたごはんの「まずさ」に愕然(がくぜん)とします。 病人だからこそ、おいしいごはん、楽しいごはんが欲しいのではないか。クリコさんは、アキオさんのためにオリジナルの「見て楽しい」「食べておいしい」「もちろん健康にいい」究極の介護食の開発に乗り出します。 本書では、クリコさんが開発した見た目も味も最高の介護食のレシピと写真とともに、自ら「バカップル」と称するおしどり夫婦の日常生活と介護と闘病の日々がつづられています。 働き盛りの家族が突然がんなどの病にかかる。家族は、そして当人はどう生きればいいのか? 誰もが当事者になり得るこの課題に「希望のごはん」という答えを出し