昭和時代には一撃必殺の大技だったにもかかわらず、今では猫も杓子も使ってしまう「つなぎ技」、「見せ技」にまで堕落させられててしまった技の最右翼がカール・ゴッチが考案したと言われる原爆固め=ジャーマン・スープレックス・ホールドである。最初の犠牲者は吉村道明。誰も見たことのないこの技の名前を聞きに走った若手記者はゴッチに技の名前を聞いた。「ジャーマン・スープレックス・ホールド!」若手記者はベテラン記者に技の名前を報告したところ、「それじゃわからん!日本語ではなんと言うのか?」ときかれ、とっさに「原爆固め」といったという。これがその後、日本ではジャーマン・スープレックス・ホールドの呼び名として定着した。とっさの言葉にしてはこれほどこの技のイメージにぴったりの名称もない。 連続写真は昭和45年に来日した時のゴッチの原爆固めである。相手はビル・ロビンソン、3本勝負のシングル・マッチで決まった時のものだ