兼松日産農林(東京)は27日、家庭用マッチ事業の唯一の製造拠点である淡路工場(兵庫県淡路市生穂)を来年3月末で閉鎖し、同事業から撤退すると発表した。業界最大手だが、使い捨てライターの普及など需要の減少に加え、生産設備の老朽化が激しく安定供給が難しくなった。前身の企業から数え、112年の歴史に幕を下ろす。(高見雄樹) 「桃印」などの商標は同業の日東社(姫路市)に譲渡する。金額は非公表。工場の従業員18人は再就職支援などを行う。土地、建物は現状のまま残し、賃貸か売却を検討する。 工場の自動マッチ製造機は設置から約50年が経過。修理部品は既になく、従業員が自作してしのいでいたが、昨年末に故障が頻発し製造能力が極端に低下したという。 工場は神戸を拠点に「マッチ王」と呼ばれた滝川弁三の清燧(せいすい)社が、1905(明治38)年に設立。明治大正期の総合商社・鈴木商店のマッチ会社と合併するなどし、兼松