復興計画の立案・実施で留意すべきこと(1/5) 東日本大震災でお亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈りするとともに、ご家族を亡くされた方々にお悔やみ申し上げます。また、被災された方々は日々どのような不安なお気持ちで過ごされているかと思うと胸が痛みます。心からお見舞い申し上げます。被災地で捜索や支援にあたられている方々に敬服するとともに、福島第一原子力発電所で命への危険をかえりみず事態を少しでもいい方向に向かわせようと24時間奮闘努力されている方々の勇気に胸が打たれています。 原発事故への対応、行方不明者の捜索、原発事故のための避難範囲の拡大など震災への初期対応はまだ終わったとは言えない。しかし、早晩、本格的に復興に取り組む必要がある。政府内では平成23年度補正予算案の検討が始まっている。また、政府や民主党内では復興にむけた復興庁の創設が議論されていると報じられている。 ○3つの留
イスラム圏の「民主化」はむずかしい(1/3) ムバラク独裁が大衆行動で崩壊し、エジプトは民主化に向かって動きはじめた。しかしその「民主化」は「イスラム化」になってしまうのではないか。そんな懸念があちこちでささやかれている。 その懸念には、実は先例がある。1991年のアルジェリアだ。 ○アルジェリア自由選挙の結果 フランスからの独立闘争をになったFLN(アルジェリア民族解放戦線)は一党独裁制を敷き、短期間で腐敗した。大衆の批判をかわせなくなり、91年12月、初の複数政党制による総選挙が行われた。無制限の自由選挙だった。その結果、第1回投票でFLNは惨敗し、イスラム建国をとなえるFIS(イスラム救国戦線)が8割以上の議席を獲得してしまった。 政権の座を確実にしたFISは、イスラム主義のスローガンを次々に打ち出した。 「議会と憲法は停止する」「すべてはコーランにもとづいておこなわれる」
エジプト・革命・ネット(1/3) 朝まだき、新聞を取りに出たら、あたりは雪景色だった。2月12日。新聞の一面は、エジプト情勢で埋められていた。<ムバラク政権崩壊 独裁30年に幕>(朝日)<ムバラク大統領辞任 エジプト軍、権限掌握>(読売)。 テレビをつけると、画面はタハリール広場を中心に喜びのるつぼ。怒涛のような歓声が伝わった。CNNもBBCも、同じニュースを繰り返した。花火で祝い歓喜する市民の興奮は、時間を経ても収まらないようだった。ムバラク大統領はシナイ半島の紅海に面したリゾート地、シャルムエルシェイクに身を移したという。 ○30年の歴史 シナイ半島の朝焼けの美しさがよみがえる。記憶が1977年12月に引き戻された。正月の企画で、中東カタールからエジプトに飛び、カイロからスエズに移動した。 カイロ大学を擁し、他のイスラム諸国に比べ戒律的に穏健との印象を持った。スエズの町は世界に
ネット帝国主義と表現の自由(1/3) 先週、ゴールデングローブ賞作品賞を受賞した「ソーシャル・ネットワーク」を見た。ハーバード大学の学生だったマーク・ザッカーバーグが、04年2月インターネットの会員制交流サイト「Face book」を立ち上げるいきさつを描いている。 映画では、校内限定サイトだったものが、人気を呼び、米国内の他大学から、国の大学まで広がり、会員数100万人を瞬く間に超えていく、その猛烈なスピードを映画で体感できる。 しかし、そのスピードはその後も続き、世界中で5億8500万人。現在、世界の10人に1人に迫るネットワークだそうだ(1月18日付朝日)。 ○チュニジア「ジャスミン革命」の一助に Face bookは、ヨーロッパを越え、アフリカにまで及び、今回のチュニジアでのジャスミン革命の一助になったことは有名だ。「史上初のサイバー発革命」という識者もいる(1月23日付毎日
「正義」が経済の起爆剤になるか(1/3) 格差問題が議論の中心になって久しい。だが、今の格差議論は変わり始めている。「格差縮小を目標とする政策が雇用を破壊する」という現象が指摘され、格差問題を改めて考える必要が生じている。金融危機が終わったとしても、世界経済が徐々に改善をしている中、日本の雇用はまだ暗闇の中である。「貧困だが皆、平等」では社会は成り立たない。再配分を強調したとしても、再配分する所得がなければどうにもならないと理解できよう。 ○米国でも格差論議 格差社会の本拠地と思われる米国でさえ、格差と社会が再検討され始めている。イェール大学のJacob S. Hacker教授とカリフォルニア大学バークレー校のPaul Pierson教授の共著「Winner-Take-All Politics」(勝者独り勝ちの政治)がこの議論を鋭くリードしている。不平等社会の原因は、「技術の進歩、グロ
「嫌中」と「嫌共」は違う(1/3) 日本人の中国人嫌いが増えているようです。 今月発表になった内閣府の「外交に関する世論調査」によれば、「日中関係は良好ではない」との回答が過去最悪の9割近くに達したそうです。中国に「親近感を感じない」との回答も8割近くになりました。テレビや雑誌に出てくる「中国」のイメージも、あまり良くはありません。新聞に掲載される記事や読み物も、どちらかと言うと、対中警戒感の強い内容が多いようです。 ひょっとしたら、日中関係は戦後最悪の時期を迎えてしまったのかもしれません。 けれども、結論を先に言うと、私たち日本人は重大なミスを犯しているのではないか。混同のミスです。どのような混同かと言えば、中国共産党政府と中国人とを一緒くたにしているということです。 ○中国政府の意図 沖縄県・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件はどのように考えても先方に非がありました。一部に漁船の船
「スマートフォン元年」をどう読む(1/4) 今年は国内でもスマートフォンが本格的に市場に投入され、経済紙だけでなく一般紙でも多くの記事で取り上げられた。2010年はスマートフォン元年といっても良いだろう。新聞データベースで検索するとスマートフォンが出てくる今年の記事は、読売で100以上、朝日で200以上、日経で800以上もある。 「スマートフォン」は残念ながら日本からのヒットではなく、海外での流行が日本に持ち込まれたものだ。しかしその肝心の「スマートフォン」の定義は実はあまりハッキリしていない。というかコロコロ変わる。今は、画面に触れるだけで操作できる「マルチタッチ」のユーザ・インターフェースを採用しており、多様な応用ソフトをダウンロードして使える機能を持つようなものをスマートフォン――つまりiPhoneの「ようなもの」を「スマートフォン」と呼ぶ人が多い。 だが、通話機能以外にさまざま
「なにより新卒」で失っているもの(1/3) 就職氷河期が続く中で、厚生労働省、文部科学省、経済産業省が合同し、国内245の経済・業界団体に対し「卒後3年までの既卒者は新卒と同様にあつかってほしい」と要請したという。 日本の大企業がなぜ「新卒」を重視しているのか、「既卒」では何がいけないのか。いろいろ考えてみたが、どうもすっきりと納得できる答がない。何社かの採用担当者に尋ねたが、「慣行上そうしてきていますので…」みたいな、歯切れの悪い説明しか返ってこない。 私としては、経験豊かな既卒者の方が、企業にとってはずっと得だろうと思う。たとえば、朝日新聞は先日、大阪地検の証拠改ざん事件を1面トップでスクープした。大スクープだったが、その担当記者は中途入社組だった。新卒だろうが既卒だろうが、経験や能力があればそっちの方が買い得であることは明白だ。コンビニのアルバイトだって厳しい接客経験を積んできて
電子書籍について語られないこと(1/3) アメリカでキンドルが売れ、日本でも5月末にiPadが出て、電子書籍元年と騒がれている。 電子書籍元年は、メディアによって作り上げられたイメージとまでは言わないが、少なくとも期待が増幅されていることは確かだろう。 私も含めてこの件についてコメントを求められた人の多くが感じていることだが、電子書籍の時代が来るための問題点を語ってもそれは取りあげられず、景気のいい話だけが報じられる。それによって電子書籍の時代が来たというイメージが膨らんでいく。 こうしたことは何につけしばしば起こることだが、実態を少しでも知っているだけに、その言葉の空虚さが感じられてならない。 ○すでに何度も「元年」 電子書籍に関心を持ってきた人ならば誰でも知っていることだが、電子書籍元年と騒がれたことはすでに何回もある。 そのたびにうまく行かず、結果として何度でも「電子書籍
温暖化対策は牛丼業界に学べ(1/4) 牛丼業界は競争が極めて厳しい。大手3社による値下げ競争がまたもや始まった。結末はどうなるのだろうか。通常考えられるシナリオは2種類である。 その1 2社がギブアップして、結果的に1社に統合される。そして、牛丼の価格は元に戻る その2 3社とも消耗し、どこか1社が値上げするのを待望する状況になり、なんとなく牛丼の値段は元に戻る しかし2だと、しばらくたって、またまた値下げ競争が勃発することになる。となると、最終的にシナリオはその1しかないことになる。実はシナリオ1こそが、日本が世界との競争に打ち勝ち、同時に温室効果ガス削減を実現するための一番の近道なのである。 ○牛丼業界は競争があるが、製造業は… 日本の輸出産業である製造業は、いかに魅力のある製品をつくるかが勝負である。製品は輸送が可能であるから国際的な競争に勝つ必要がある。品質とコストだけでな
「米大使の広島平和式典参加」の意義(1/3) 日本では、暑い夏の8月は、戦争と平和について考える時期であるとも言えよう。 この時期、新聞やテレビでは第二次世界大戦の終戦をめぐる特集が組まれるが、戦後生まれが大勢を占める現在、人々の関心は年月が経つに従い薄れて行っているようだ。特に、広島、長崎への原爆投下については、戦後65年経った今では、原爆投下についてよく知らない人の数も増え、被爆地においてさえ被爆体験の風化現象が懸念されている。 そのような中、今年の8月6日の広島での平和記念式典にルース駐日米大使が参列する、とアメリカ国務省が発表したのは、新たな動きである。これまで広島市は、核兵器国を含めて各国に式典への参加要請を行ってきたが、アメリカはこれまで出席することはなかったからだ。 ○「核の不使用」を示す機会 これまで、アメリカが出席しなかった背景には2つの問題があったと言えよう。一つ
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