「なぜ避難」酪農家困惑 放射性物質未検出・川俣の山木屋 手塩にかけた牛を見つめる菅野さん。計画的避難区域の指定に釈然としない思いを抱いている=福島県川俣町山木屋 福島第1原発事故で計画的避難区域に指定された福島県川俣町山木屋地区の原乳から、3回連続で放射性物質が検出されなかった。政府が定めたルールでは、出荷停止解除の条件を満たした形。だが実際には避難区域のため出荷できない上、人も牛も移動を迫られ、地元の酪農家はいら立っている。 <搾っては廃棄> 山木屋地区で乳牛約40頭を飼う菅野泰彦さん(33)は、25日に発表された調査結果で放射性物質が3回連続検出されなかったのに、表情は晴れない。「なぜ避難しなければならないのか、ますます分からなくなった」 原発事故以来、1日も休まず搾った原乳は全て廃棄してきた。水は井戸水、餌は昨年収穫した牧草を使い、牧舎の窓は閉め切った。放射線の影響をなるべく避け