昔々、VICEでライターとして記事を書き始めるずっと前、私は別の仕事をしていた。そのなかでも、今日の私に大きな影響を与えた仕事は、〈トリップアドバイザーで偽レビューを書く〉という仕事だった。いち度も訪ねたことのないレストランの好意的なレビューを書き、報酬は10ポンド(約1500円)。やっているうちに、レビューしたレストランの評価を監視するのに夢中になった。レビューがきっかけで、評価が上がったりもしたのだ。 その経験から私は、トリップアドバイザーは〈偽の現実〉だ、食事が提供されたことはない、レビューは全て、私のような雇われライターが書いているのだ――そう信じるようになった。でも、実際はもちろん(たぶん)本物だ。そもそも、レストランの存在自体は絶対に偽れない。そうやって自分を納得させたハズだった。 しかしある日、自宅の物置スペースに座っていた私は、突然、天啓を得た。デマ情報ばかりが流れるこの世