首相がこう発言した背景には、国連が5月28日発表した調査報告書がある。報告書は、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会が23年7月から8月にかけて実施した訪日調査の結果である。報告書で旧ジャニーズ事務所(現スマイルアップ)などのエンターテインメント業界と並んで指摘を受けた業界がある。アニメーション業界だ。報告書は、アニメーターの低賃金、過度な長期労働、不公正な請負関係、クリエーターの知的財産権が守られない契約などを指摘し、「搾取されやすい環境がつくり出されている」と結論付けた。 作品排除「常にあるリスク」 日本のアニメ産業は近年、外需をけん引役として成長しており、22年に市場規模は3兆円を超えた。24年6月に日本政府が「新たなクールジャパン戦略」を公表し、アニメをはじめとするコンテンツ産業を基幹産業に位置付けた上で、海外市場規模を33年までに20兆円以上にする目標を掲げている。 今回の