7年前のベストセラー『帝国以後』で米国凋落を予測。最新著作『デモクラシー以後』では、グローバル経済下の金融危機を乗り切るには、自由貿易から保護主義への移行が必要と訴える。フランス気鋭の人類学者エマニュエル・トッド氏に危機の「出口」について聞いた。 --『デモクラシー以後』の中で、経済危機と民主主義の後退・崩落の元凶は、「自由貿易の絶対視」にあると指摘しています。日本では同意しにくい面もありますが……。 まず自由主義を古典的・伝統的な自由主義と、「ウルトラ・リベラリズム」に区別して考えなければなりません。前者は許容できるもので、かつ必要な自由主義とは個人だけでなく、地方自治体や国家など個人を超えたものも大切にするものです。 私にとって聖なる自由主義は、ある程度国家の規制の下に成り立つ経済です。これに対して最近の自由主義はウルトラ・リベラリズムと呼べるもので、常軌を逸した自由主義。これが問題で