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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (73)

  • セックスの回数が増えている件について

    3.11の前と後で、増えてる、きちんと数えてないが、2倍ぐらい(当社比)。 未曾有の危機を目の当たりにし、「ゆれ」に対して極端に敏感になっており、身体モードが戦闘態勢に入っているからだろうか。加えて、目先の不安、将来の不確かさが「生きること」そのものへの欲求をつのらせているからだろうか。生命の危機に瀕すると、生命を残そうとする情動スイッチが興るのだろうか。 吊橋効果というコトバがある。ぐらぐらする吊橋を男女で渡るとき、恐怖によるドキドキを恋愛によるドキドキと勘違いしてしまうやつだ。聞くところによると、婚約指輪がバカ売れしているそうな。コンドームも然りかと。揺れているのは福島だけではない。日列島という弧が巨大な吊橋と化しているのか。 いずれにせよ、スイッチが入ったのは、わたしだけでない。行為に没頭することで不安を鎮めようとするのか、互いが互いにしがみつく。だが、これが「」になると想像力を

    セックスの回数が増えている件について
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2011/04/13
    未曾有の危機を目の当たりにし、「ゆれ」に対して極端に敏感になっており、身体モードが戦闘態勢に入っているからだろうか。
  • 私小説とは内臓小説だ「塩壷の匙」

    小説とは内臓小説だ。 自分自身をカッ斬って、腸(はらわた)をさらけだす。主人公=作者の、あたたかい内臓を味わいながら、生々しさやおぞましさを堪能するのが醍醐味。キレ味やさばき方の練度や新鮮さも楽しいし、なによりも「内臓の普遍性」に気づかされる。そりゃそうだ、美女も親爺も、外観ともあれ内臓の姿かたちは一緒なように、えぐり出された内観は質的に同じ。だから他人の臓物に親近感を抱く読み方をしてもいい。 松丸舗にて松岡正剛氏から直々にオススメされた車谷長吉「塩壷の匙」を読む。傑作短編集だ。松岡正剛さんオススメの劇薬小説という触れ込みだが、これは内観のおぞましさだね。そいつをハッとするほど美麗な筆致で削りだす。たとえば、「なんまんだあ絵」で井戸の中の鮒に近しいものを感じていた老婆が、こんな光景にであう。 釣瓶を井戸へ落とし込んだのだが、ゆるゆる闇の底から上がってきた水桶の中に、鮒の白い腹が浮かん

    私小説とは内臓小説だ「塩壷の匙」
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2011/04/12
     私小説とは内臓小説だ。
  • あたらしい本との出会いかた

    ブログのおかげ、ネットのおかげで、質量・世界ともに広がった。ここでは、あたらしいとの出会いかたについていくつか、紹介する。 昔は書店通い・ハシゴをするか、書評を漁るしかなかった。Popで店員さんのシュミを探るとか、文庫の解説からの目利きを探すのも(地味ながら)有効だった。通いつめるうちに、「に呼ばれ」て即買い→アタリだったという経験もある。無意識のうちに背表紙を読んでいたのだろうか? 今は、blogやtwitterやfacebook経由で触手を伸ばしたり、amazonのオススメに誘惑されたりと忙しい。大型書店や出版社の新刊情報も外せないが、玉と糞が混交しており仕分けほうが大変だ。との出会いのチャネルが増えたのは嬉しいが、フィルタリングが要となる。「あたらしいとの出会いかた」に共通するのは、そこに「人」が介在するところ。ネットの向こうの人を介して、を探す。「わたしが知らないスゴ

    あたらしい本との出会いかた
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2011/04/08
    「あたらしい本との出会いかた」に共通するのは、そこに「人」が介在するところ。 スゴ本の人が言ってると説得力があるね
  • 「風が吹くとき」再読

    絶句した、わたしはこの老夫婦を笑えない。むしろ、いまの"わたし"そのものだ。 イギリスの片田舎が舞台、時代から取り残されたような老夫婦を描く。絵というよりグラフィック・ノベルやね。穏やかな二人の生活に、さいしょはジワジワと、次に割り込むよう、最後は全面的にのしかかってくる「核の恐怖」が、すべてを塗りつぶしてゆく。初読は二十ン年前、「さむがりやのサンタ」しか知らなかったわたしには、ほのぼの+おどろおどろのギャップが衝撃だった。 しかし、当時のわたしは、「フィクションというフィルター」を通じて受け止めたがる節があった。全面核戦争が勃発すれば、日曜大工の「シェルター」や、窓ガラスに白ペンキごときで防げるワケがない。それでも政府が発行するパンフレットを、一字一句、忠実に守ろうとする彼らに、一種ほほえましさを感じ、待ちかまえる運命を案じ、微笑しながら涙ぐんだ。 核戦争が「ラジオ」で告げられ、3分後

    「風が吹くとき」再読
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2011/04/04
    なぜなら、信ずるに足る情報を元に下した判断ではなく、"信じたい"という欲求を満足させるために、信じるから。
  • スゴ本オフ@松丸本舗(読まずに死ねるかッ編)

    よのなか買い占めがトレンドなので、を買い占めてきた。 それも、「読まずにゃ死ねない」ブツをガツガツ買ってきた。しかも、孤独なマタギの単独行ではなく、好きが集まってグループ・ハンティングだ。互いが互いにオススメしあい、いつもなら敬遠してたものも、オススメ上手な皆さんの言にほだされて「この際だから…」と、じゃんじゃんカゴへ。 まずは、わたしの収穫。ウンベルト・エーコ「美の歴史」とジョーゼフ・キャンベル「千の顔をもつ英雄」、トニ・モリスン「ビラヴド」は予定通りだが、カサーレス「モレルの発明」、萩尾望都「半神」は完全に知らなかった→ハンターたちの「コレはスゴいぞ!」に押されてバスケットへ。吉田秋生「海街diary」は、前回の屋オフでも猛プッシュされたよなぁ……と押し倒される。ほら、あれだ何度も誘惑されると、ついフラフラッとなってしまうもの。もちろん「海街」は大期待を裏切らないだろうが、未完に

    スゴ本オフ@松丸本舗(読まずに死ねるかッ編)
  • 自分を疑う深い穴「春にして君を離れ」

    「自分を疑う」これが最も難しい。 誰かの矛盾を突くのは簡単だし、新聞などの不備を指摘するのは易しい。科学的説明の怪しさを探すのは得意だし、だいたい『言葉』や『記憶』こそあやふやなもの。しかし、そんなわたしが最も疑わない―――あらゆるものを疑いつくした後、最後に疑うもの―――それは、自分自身。わたしは、自分を疑い始めるのが怖くて、家族や仕事に注意を向けて気を紛らわしているのかもしれない。自己正当化の罠。 では、こうした日常の諸々から離れたところに放り出されたら? たとえば旅先で交通手段を失い、宙吊りされた場所に居続けたら? 読むも話し相手もいないところで、ひたすら自分と向き合うことを余儀なくされる。最初は、直近の出来事を思い出し、何気ないひとことに込められた真の意味を吟味しはじめる。それは次第に過去へ過去へとさかのぼり、ついに自己満足そのものに及ぶ。 クリスティーにしては異色作、誰も死なな

    自分を疑う深い穴「春にして君を離れ」
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2011/03/20
    自分を疑うか。
  • 一度にただ一つのことをやるがいい

    キャベツたっぷりのラーメンを作って、家族でべる。 熱々をふうふうしながらべながら、みんなで「おいしいね」と言い合っているうちに、涙が出てきた。見慣れたあたりまえの光景なのに、ものすごく貴重に思える。いつものように営業しているスーパーに、異様なほど長い買い物客の行列が連なっている。だれに向かっていいのか分からないが、「ありがとう」と苦しいほど感じる。 16年前と違って、すぐに情報につながることができる。あたりまえかもしれないが、ネットはインフラだと痛感している。ガセも沢山あるが、見分けるのもたやすい。災害対策費を仕分けた人の話とか、現内閣のテレビを見てるだけの悲しすぎる"対策"とか、ツッコみどころもあるが、今は家族といっしょに今夜を安全に過ごす準備をしてる。今夜は電力不足になる見込みなので、風呂や夕は明るいうちに済ませておいた。 このブログの中の人として役立つというなら、アランの定義集

    一度にただ一つのことをやるがいい
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2011/03/12
    今はこの被害に関してのみ考えたいな。。
  • 妻を持つべきか

    持てる人はほろ苦く、持たざる人は甘さを感じる一冊。 持つべきか、持たざるべきか、それが問題だ……なんて深刻に考えず、勢いよく結婚を申し込んで十余年。他人は知らんが、少なくとも今のわたしにとって、「よい」方向へ進んだ(と、思いたい)。この「よい」とは、自分の人生を破滅的なトコから抜け出す方向への「よい」。砕いていうなら、銭金とか、生活習慣とか、人づきあいとか、感情の落とし処になる。もちろん、子どもの存在も大きい。子のおかげで生きてこられた、と断定できる。 これは、「少なくとも今のわたしにとって」の現在進行形の断定であって一般化できない。だから安易にオススメできない。踏みきるにはある種の勢いと直感が必要だが、続けるには別の種類の努力と諦観が「互いに」必要だから(←これも「今」「わたし」の判断)。 人生は還元できないが、結婚も然り。だが、人生同様、経験を積んだ人の言葉から傾向はつかめる。ソクラ

    妻を持つべきか
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2011/03/09
    奥さんほしいw
  • スゴ本オフ@最近のオススメ報告

    を介して人と会い、人を介してと会う。それがスゴオフ。 オフ会のたびに思うのだが、わたしの視界のなんと狭いことか。そして、なんとスゴい収穫になることか。知ってるでつながる人と、その人を介した「次の」は、漫然とamazonを巡ってもまず会えない。この場がなかったら、たぶん一生会うことのない、でも見た瞬間コレダ!と気づかされる、そういう一冊を沢山オススメしてもらう。嬉しい悲鳴とはまさにこれ。 まず、気になる一冊というより、圧倒的な存在感を放っていたのがヘルムート・ニュートンの「SUMO BOOK」の普及版。オリジナルは85cm×85cm の 30kg でお値段200万円 の世界一巨大な写真集。大木さんが持ってきたのは、その普及版とはいえ重くてデカくて、鈍器というより重機。専用のブックスタンドに開いて置いて読む仕掛けだ。表紙は巨大な女性のヌード。目にいっぱいに飛び込んでくる写真と相対

    スゴ本オフ@最近のオススメ報告
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2011/03/07
    またも"V”の由来がw
  • 一筆書の人生「わたしは英国王に給仕した」

    給仕見習いから百万長者に出世した波瀾の人生を、いっきに語りおろす。 各章の冒頭は、「これからする話を聞いてほしいんだ」から始まり、エピソードてんこ盛りでオチ・サゲ・目玉を詰め込んでいる。解説のいう「ビアホールの詩学」はぴったりやね。居酒屋で知り合ったオッサンが、半分自慢、半分法螺の過去話を開陳する。語りの上手さ、映画的展開、ちょっとの(かなりの?)エロスと、狂気と、死。居酒屋小説なるものがあるならば、まさに書が適当だ。ナチス占領下のチェコの狂気が、狂気に見えないのは、語り手の吹き加減が上手いから? 想像の視覚を刺激するようなうつくしいシーンが、ふんだんにある。「裸にした女性を寝かせ、その肢体を花で飾る」とか、「若い娘のおしりをひろげて、子供のようにはしゃぐ老人」なんて、読んでるこっちがまざりたくなる。女というものはどこもかしこも愛らしい・美しいものだが、作者は(主人公は)特にお尻が気にな

    一筆書の人生「わたしは英国王に給仕した」
  • 「スゴ本オフ@最近のオススメ」のお誘い

    好きなを持ち寄って、まったりアツく語り合うスゴオフのお知らせ。 SF恋愛、POP、ミステリ……毎回テーマを決めてきたけど、今回はノンジャンルで、最近のオススメにします。あれこれテーマを選んだり、決まったテーマで脳内・棚ブック・ハントもまた楽し。悩ましい楽しみなのだが煩わしいことも事実。なので間口を広げて、 最近(ここ一年)読んだ中で、「これイイ!」というもの を持ち寄り・紹介しあいましょう。業界の回し者のように、「2010年に出版された新刊」とかの縛りはありません(新刊恐怖症は煽りません)。10年前のでも、1世紀前に出たものでも、あなたが読んだそのときが new! なのだから。 日時 3/4(金)19:00開場、19:30~21:30 場所 麹町のKDDI Web Communicationsさんの会議室 参加費 千円(軽と飲み物が出ます) 終わったら有志で飲会へなだれ込みます

    「スゴ本オフ@最近のオススメ」のお誘い
  • 現実をスウィングしろ「宇宙飛行士 オモン・ラー」

    これは傑作。現実からすべり落ちる感覚を満喫する。 ベースは30年前の冷戦時代。米ソの月探索競争を背景に、宇宙飛行士を目指す若者・オモンが語り部だ。現体制を守るため理念や思想が自己目的のお化けとなるトコなんて、いかにもソヴィエトらしくて笑える。だが、ステレオタイプな「ソヴィエト」に心許してると、裏をかかれる。現実から感覚がズれてしまう。 この感じは、「止まったエスカレーター」だ。ふつうエスカレーターは「流れて」おり、わたしはタイミングよく「乗っかる」ことで運ばれてゆく。ところが、点検か停電で止まった状態のエスカレーターで上ろうとすると、体と感覚のバランスが取れなくなる瞬間がある。目に入るのは「エスカレーター」なので、体を自然に「流れ」に合わせようとしてフラッとなるのだ。 同様に、「戯画化されたソヴィエト」や、「一人称のお約束」に沿って乗っていこうとすると、オヤッ、フラッとなる。わたしが「現実

    現実をスウィングしろ「宇宙飛行士 オモン・ラー」
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2011/02/21
    冷戦時代の本 読んでみたいな
  • ルーヴルを使ったコラージュ「氷河期」

    「荒木飛呂彦がハマった」という惹句に招かれる。なるほど、これは珍しい発創だ。 書は、ルーブル美術館のバンド・デシネ・プロジェクトの一環として製作されたもの。バンド・デシ ネ(bande dessinée)とはフランス語で「描かれた帯」という意味で、漫画に相当するのだが、わたしが馴染んだマンガとは偉い違う。もっと芸術性の高いもの で、フランス語圏では、「9番目の芸術」(le neuvième art)として認識されている(wikipedia[バンド・デシネ]より。 マンガという先入観をいったん捨てて、ここは「画集」としてページを開いてみよう―――時は未来、場所はパリ。た だし地球に氷河期が訪れ、人類は歴史の記憶喪失に陥っている。つまり、現在との連続性が喪われた人類の末裔により、氷に覆われたルーブル美術館が探 索される。膨大な美術品を前に、調査団は失われた文明を読み解こうと、奇想天外な解釈を

    ルーヴルを使ったコラージュ「氷河期」