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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (73)

  • 「バベルの図書館」はスゴ本

    ボルヘスが編んだ傑作集。どいつもこいつも、すばらしい。 「バベルの図書館」は、ボルヘスが描いた架空の図書館だ。六角形の閲覧室が上下に際限なく続き、古今東西過去未来、世の全てのが収められているという。ウンベルト・エーコ「薔薇の名前」に出てくる文書館がイメージの助けとなるだろう。 自分が作り出した「バベルの図書館」と同じ名で、ボルヘスは全30巻の叢書シリーズを編さんした。もうン十年も前のことだ。ボルヘス好みの、幻想と悲哀の入り混じった寓話で、今ではマニア垂涎の的となっている。これを6巻に再構成したのが、新編「バベルの図書館」だ。分厚く、箱入りの「よりぬきバベルの図書館」は、ちょっとした百科事典のように見える。 今回はアメリカ編。ホーソーン、ポー、ロンドン、ジェイムズ、メルヴィル…嬉しいことに、ほとんど未読の作品ばかり。噂だけ、タイトルだけは知ってはいたが手を出していなかったことを悔やみつつ、

    「バベルの図書館」はスゴ本
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2012/10/31
  • 「アンナ・カレーニナ」読むと結婚が捗るぞ

    人生を滅ぼした女から、何を学ぶか。 「女とは愛すべき存在であって、理解するためにあるものではない」といったのはオスカー・ワイルド。これは、夫婦喧嘩という名のサンドバック状態になってるとき、かならず頭をよぎる。 結論から言う。論理的に分かろうとした時点で負け、相手の感情に寄り添えるならば、まだソフトランディングの余地はある。 しかし、夫と不倫相手は、そこが分かっていなかった。体裁を繕うことに全力を費やしたり、売り言葉に買い言葉で応じたり。優越感ゲームや記憶の改変、詭弁術の駆け引きは目を覆いたくなるが、それはわたしの結婚でもくり返されてきたことの醜い拡大図なのだ。 投げつけあう「あなたの言っていることが分からない」の応酬は、「どうせ分かってるくせになぜそういう態度をとるの?」の裏返しだ。大いに身に覚えがあるわたしには、ヴロンスキー(不倫相手)の利己的な愛の吐露が身に染みる。 「じゃあ言ってくれ

    「アンナ・カレーニナ」読むと結婚が捗るぞ
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2012/07/31
    捗るらしい。
  • ボルヘス好き必読「ゾラン・ジフコヴィッチの不思議な物語」

    さらりと読んで後悔、極上のケーキを一口でべてしまった。 なので、これを読む方はよく味わってほしい。【ボルヘス級】といえば分かってもらえるだろうか。3つの短篇を編んだ、とても薄い、極上の奇譚集だ。読むのがもったいないくらい。 簡潔な文体で異様な世界を描く作風は、ボルヘスやコルタサルを期待すればいい。だが、書の異様さはこの現実と完全に一致しているところ。ボルヘスの白昼夢をリアルでなぞると、この物語りになる。 そうこれは「物語り」なのだ。最も面白い物語りとは、うちあけ話。最初の「ティーショップ」では、聴き手の女の子と一緒に、物語に呑み込まれて裏返される"あの感じ"を堪能すべし。そこでは聴き手が語り手となり、語り手が聴衆と化す。物語りは感染し、連環する。 ラストで彼女がとった行動に、一瞬「?」となるが、直後に鳥肌が走る。独りで読んでいるのに、周囲の空気が自分に集まってきて、世界に観られている感

    ボルヘス好き必読「ゾラン・ジフコヴィッチの不思議な物語」
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2012/07/11
  • 疲れた大人に、よく刺さる「心にトゲ刺す200の花束」

    いくつになってもペシミスト。若い頃はカッコつけのためだったが、年とるほど、現実みるほど、悲観主義がちょうどいい。失望せぬため期待しない。ポジティブシンキング糞らえ、ありゃ、たま~にべたい辛口カレー。自分マインドコントロールが「必要」なときにえばいい。 楽観主義者とは、人生経験の浅いもののことだ。 ドン・マークウィス そういう痛いオッサンに、グッサリ刺さるスーパードライな箴言集。もちろん、ビアスや筒井やマーフィーの、辛辣辞典は読んできた。だがこの一冊は、一番薄いにもかかわらず―――いや薄いからこそ―――触られたくない奥底にまでもぐりこむ。そして、ちょっと遅れて、背を焼くようなヒリヒリとした笑いが襲ってくる、自己嘲笑の発作に身悶えする。これ嘲笑(わら)える人は自分の人生もひっくるめて笑い飛ばせる。 どうして自分で自分を苦しめたりするの? どうせ人生が苦しめてくれるのに。 ローラ・ウォーカ

    疲れた大人に、よく刺さる「心にトゲ刺す200の花束」
  • 完璧な酔い、剥き出しの知覚 : 中上健次「奇蹟」

    ひさしぶりに、したたかに読った。この体感は非互換、中上健次ならでは。 読むとは酔うこと、読みごこちは、酔いごこち。しかも、水の如き流行りの文芸ではなく、いつまでも微醺の日々が続く、中毒性の高い文学だ。いつまでも酔っていられる、その世界を引きずって生きている感覚。さながら作中の魂が半分わが身にのめりこんでいるかのようなn日酔い。 極道タイチの短く烈しい生涯が紡がれる「物語」として読み始めるが、これが曲者。語り手はこの世に居ないか、意識を喪失しているから。老いたアル中の混濁した意識が作り上げた「語り」にしては、神じみて微に入り細を穿ちすぎている(あぁ、でもラストに至るに菩薩じみてくるから"神視点"は合ってると言えるなぁ)。 タイチの闘いの性は、わたしの肌を粟立て、同時に淫蕩の血をかき立てる。潮騒に鼓動がシンクロするように、語りのうねりはわたしの感能をざわつかせる。輝ける生の盛りに迎える凄惨な死

    完璧な酔い、剥き出しの知覚 : 中上健次「奇蹟」
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2012/05/29
    おお、読みたい。
  • 安くて強くて猥雑で「東京右半分」

    写真の質は「覗き」だ(と思うぞ)。 きれいなお姉さんをナマで見つめることはできないし、立入禁止の場所を見ることは許されないが、写真なら可能だ。写真は、こうした見る欲望を満足させてくれる。書では、普段見れない・知らない・許されない東京を、思う存分「覗く」ことができる。 しかも、東京の右半分に限定だ。渋谷ではなく浅草、銀座じゃなく赤羽、麻布よりも錦糸町だそうな。なぜ? それは、書き手/撮り手である都築響一が喝破する。 古き良き下町情緒なんかに興味はない。 老舗の居酒屋も、鉢植えの並ぶ路地も、どうでもいい。 気になるのは50年前じゃなく、いま生まれつつあるものだ。 都心に隣接しながら、東京の右半分は家賃も物価も、 ひと昔前の野暮ったいイメージのまま、 左半分に比べて、ずいぶん安く抑えられている。 現在進行形の東京は、 六木ヒルズにも表参道にも銀座にもありはしない。 この都市のクリエイティブ

    安くて強くて猥雑で「東京右半分」
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2012/05/24
    東京について知りたいので読みます。
  • 本好きが選んだハヤカワの170冊

    オススメを持ち寄って、まったりアツく紹介しあう「スゴオフ」、今回のテーマは「ハヤカワ」!これまた楽しく美味しいだけでなく、積読山脈を成長させるスゴい回だった。 午後一時から夜八時、延々7時間のマラソン・オフ会、見てくれこの獲物。 ばかりですまぬ。場の"ふいんき"はやすゆきさんの「早川書房さんシバリスゴオフは直球、変化球アリで「さとし」が大人気の楽しいパーティだった」でどうぞ。 まずはSF、「ハヤカワといえばSF」の通念をあえて外したのか、SFはあるにはあるが、期待したより少なめ。おすすめプレゼンでは、イーガンもホーガンも、ギブスンもレムもないのがちょっと驚き。代わりにブラッドベリやハインライン、クラークが熱く語られる。暫定的結論によると、「幼年期の終わり」はSFオールタイムベスト、「ハイペリオン」はSFのラスボス」になった。「幼年期の終わり」と「ブラッド・ミュージック」はペアで読むと

    本好きが選んだハヤカワの170冊
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2012/05/15
    いいね。
  • 日本語を飲む快楽「流れる/幸田文」

    最初のページを読んで、そのまま"持って行かれる"。 昭和まもなく、花柳の女たちを活写した傑作。何気ない会話や描写がそのまま、日語を読む快感になる(幸田文すごい)。これは、「この新潮文庫がスゴい!」でオススメされ、言われるがまま手にして、そのまま流れるように読む。 奇想な展開に"呑まれる"のではなく、プロットやキャラに"ハマる"のでもない。おいしい水をごくごく飲み干すように、うまみのあることばを読み干す(ShinRaiさん、ありがとうございます)。 読みよくしているのは、選ばれた言葉の音律だ。字余り字足らずはあるが、五七五を意図して組み立てている。五七五、五七五、五七五七五七七…と、畳み掛けるように背景と人を描いて、さっと会話を紛れ込ませる。女中奉公する主人公の語り(地の分)と受け答えがシームレスなので、容易に中に入れる。 もう一つ、読みを愉しくしているのは、主人公の感応と、カメラ視線が連

    日本語を飲む快楽「流れる/幸田文」
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2012/03/25
  • 本好きが選んだ新潮文庫の160冊

    好きなを持ち寄って、まったりアツく語り合うスゴオフ。今回のテーマは「新潮文庫」。ジャンル不問・冊数未定でありながら、やってみるとむつかしい。 なぜと問うなら、自分の書棚と脳裏を浚ってみるといい。文芸、海外歴史、冒険、SF、純文、対談、ミステリー、ファンタジー、ドキュメンタリー、エッセイ、記憶から積山から、懐かしの一冊から流行りの新刊まで、いくらでも出てくるから。ありすぎて選べないのだ。 それでもムリヤリ選んだのが、「この新潮文庫がスゴい!(徹夜小説編)」。これは「新潮文庫」+「寝忘れる徹夜」という組み合わせで厳選したもの。そして、人力検索はてなで質問したのが、「『この新潮文庫がスゴい!』という、あなたのオススメを教えてください」になる。わたしの偏見「理系のはてな」を跳ね返す文理入り乱れの怒涛のラインナップが揃った。 そして、実際にみんなで語り合ったのがスゴオフ。新潮文庫の良さ(

    本好きが選んだ新潮文庫の160冊
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2012/03/20
  • 「世俗の思想家たち」はスゴ本

    経済学の目的は、人の営みの質をヴィジョンとして描くことが分かる。そして、経済学は科学でないことが、やっと腑に落ちる。 スミス、マルクス、ケインズ、シュンペーター、経済学説史上の巨人たちの言動がときに生々しく、ときにユーモラスに語られる。彼らは皆、学説や主義の発明者というよりは、目の前の現実社会に影響を受けながらも、「なぜそうなっているのか」を得心しよう/させようと奮闘したのだ。 彼らの出自も栄達もさまざまだ。裕福な教授もいれば、極貧の文筆家としての人生を送った者もいる。共通していることは、彼らの描くヴィジョンは、それぞれの個人的な経験に裏打ちされているところ。絶対的なプリンシパルがあって、そこから証明や体系を拡張したものでないオリジナリティが、経済学を世俗の思想にしている。 たとえば、冷酷な物言いで追い詰められた感じを漂わせ、重苦しく、希望を失った人生を送ったマルクスが構想したのは、「破

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    Yamakatsu
    Yamakatsu 2012/03/12
    経済
  • 物語とは物騙り「パラダイス・モーテル」

    狂気のなかに置き去りにされる恐怖。 物語がさしだされ、受け取る。"ふつうの物語"では、語り手は後ずさりしながら去っていったり、なれなれしく近づいてきて同化しようとしたりする。ところが書は、受け取った物語をあらためているうちに、語り手は忽然と消えてしまう。かなりグロテスクな物語を、信頼できない語り手が紡いでいるなぁという第一印象はかき消えて、狂った世界に取り残される。 読む前と世界は一緒なのに、見るわたしが異質化したような感覚。これは嫌だ。 「お話」そのものは、よくできている。ある日、ある町のこと。四人の兄弟姉妹が学校で腹痛を訴える。様子があまりにもおかしいので、診たところ、体に何か埋め込まれている。それは、バラバラにされた彼らの母の体の一部だった。そして埋め込んだのは、その夫、つまり四人の父である外科医だった―――という語り。 だがこれは、書の語り手=主人公が祖父から聞いたというお話。

    物語とは物騙り「パラダイス・モーテル」
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2012/03/09
    面白そうであるな
  • スゴ本オフ@新潮文庫のお誘い(3/16開催)

    好きなをもちよって、まったりアツく語り合うスゴオフ。「マイベスト新潮文庫」で開催するよ。 今回はちょっと変わっていて、どんなジャンルでもOK。しばりはただ一つ、「新潮文庫」であること。小説から論説、ミステリからインテリ、ロマンスからサイエンスまで、実にさまざまの作品が、安くて手軽なフォーマットで読める。そんな中で、あなたの「この新潮文庫がスゴい!」を語って欲しい。「新潮文庫の100冊」から選んでもよし、渾身のマイベストを発表してもよし。新潮文庫の中の人も呼んでいるので、隠れたオススメが聞けるかも。 時間  2012年3月16日(金) 18:30~22:30 確定しました 場所  恵比寿 会費  2000円 オススメばかりでなく、みんなでべたい・飲みたい・ご馳走したい料理やらツマミやらお酒やらデザートをもってきて、ワイワイやりますぞ。手土産買ってきた!という方はレシートを忘れずに(清

    スゴ本オフ@新潮文庫のお誘い(3/16開催)
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2012/02/28
    行きたい
  • "よい戦争"とは何か「戦争の経済学」: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    戦争は割に合わない、儲けはドルだが、損は人命で数えるから」というセリフがある。だが、戦争を「プロジェクト」として捉えたら、どのように"数える"ことができるか。 この問いに、書は二つの読み方で応えている。一つは戦争に焦点をあて、これについて考える枠組みとして、経済理論を適用した読み。もう一つは、ミクロ・マクロ経済入門を説明するために、戦争をダシにしたとして。どちらの側面からでも、「面白く」といったら不謹慎だから「興味深く」学ぶことができる。 戦争で失われた人命の価値をカウントするため、保険支払いのための人命価値計算を持ってくる。ご丁寧にインフレ補正のために消費者物価指数(CPI)まで用いているところがミソ。式はこうなる。 戦争時点の1人の人命価値 = 2000年の1人の人命価値×(戦争年のCPI/2000年のCPI) 「命に値段をつけるなんて!」と反応するのも結構だが、結構な値がついて

    "よい戦争"とは何か「戦争の経済学」: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2012/01/23
  • 「戦争の世界史」はスゴ本

    ギルガメシュ王の戦いから大陸弾道ミサイルまで、軍事技術の通史。人類が「どのように」戦争をしてきたかを展開し、「なぜ」戦争をするのかの究極要因に至る。書は非常に野心的な構想に立っている。軍事技術が人間社会の全体に及ぼした影響を論じ、戦争という角度から世界史を書き直そうとする。 最初は大規模な略奪行為だったものから、略奪と税金のトレードオフが働き、組織的暴力が商業化する。戦争という技芸(art of war)を駆使する専門技術者が王侯と請負契約関係を結ぶ。常時補給を必要とする野戦軍を、その経済的作用から「移動する都市」と喝破したのはスゴい。略奪して融かされた金銀地金は市場交換を促進し、従軍商人は日用品から武器まで売りつけていたから。 そして、現代の軍産複合体の前身にあたる軍事・商業複合体が形成され、ライバルとの対抗上、この複合体に依存して商業化された戦争を余儀なくされる。民間から集めた税金で

    「戦争の世界史」はスゴ本
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2012/01/10
  • 現実はSFよりもSFだ「ロボット兵士の戦争」

    現実はSFよりもSFだ。しかも、SFよりも「お約束」な展開が恐ろしい。 革新のスピードが速すぎて、考えるのをやめ、「なりゆきを見守っている」のが、現状になる。SF好きには堪らないだろう。なんせ、ロボット兵を作り出すアイディアを、SFから拝借しているどころか、SFでもやらないベタな地雷を正確に踏んでいるのだから。 軍用ロボット技術の現状を洞察し、イラクやアフガニスタンで活躍する無人システムを、(良いとこ悪いとこ含めて)解説する。紹介される無人偵察機やロボット兵はSFまんまだけれど、だいたい想像つく。むしろ、使い勝手の良さや、ユーザ巻込み発想はスゴい。 たとえば、ルンバで有名なiRobot社のPackBot(パックボット)は、箱から出してすぐ使える。8つのペイロード・ベイがあり、地雷探知機や生物化学兵器センサー、ズームカメラなど何でも搭載できる。イラクではカメラ+かぎ爪を組み合わせ、遠隔地から

    現実はSFよりもSFだ「ロボット兵士の戦争」
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2012/01/03
  • ビブリオバトル@2011オススメ

    師走が「速い」のは、実質的に活動できる日が少ないから。 気づいたらもう来週に迫ってるので再告知、ビブリオバトル@紀伊國屋書店に参戦しますぞ。わたしが参戦するのは、17:00開始の第2ゲーム。Ustream でも流れるので、twitter のハッシュタグ #bibliobattle をチェックすると吉。公式サイトは、ビブリオバトル in 紀伊國屋<年忘れ☆オールスター2011>をとうぞ。 2011年12月28日 (水) 16:00~ 紀伊國屋サザンシアター(紀伊國屋書店新宿南店7F) 画像はまみやさんより。なんだかスゴいバトルのイメージング、ありがとうございます(実際はビーム出ない)。 ビブリオバトルとは、ずばり書評合戦。オススメを1冊、5分だけプレゼンして、観覧者と「いちばん読みたい1冊」を決める。持ってくるの威力も当然ながら、プレゼンの熱意も結果を左右するので、とてもスリリングだ。 今

    ビブリオバトル@2011オススメ
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2011/12/21
  • 「疫病と世界史」はスゴ本

    感染症から世界史を説きなおしたスゴ。 目に見えるものから過去を再現するのはたやすい。事実、書簡や道具から過去を再構成することが歴史家の仕事だった。が、この一冊でひっくり返った。「目に見えなかったが確かに存在していたもの」こそが、人類史を条件付けていたことが、この一冊で明らかになった。 著者はウィリアム・マクニール、名著「世界史」で有名だが、書では、感染症という観点から世界史を照らす。欠けている部分は推理と計算を駆使し、見てきたかのような想像力を見せつける。それは、面白いだけでなく、状況証拠を示すことで強力な説得力を併せ持つ。 書の結論はこうだ。 人類の出現以前から存在した感染症は、人類と同じだけ生き続けるに違いない。人類の歴史の基的なパラメーターであり、決定要因であり続ける。 書は、宿主である人と病原菌の間の移り変わる均衡に生じた顕著な出来事を探っていく。帝国や文明の勃興・衰亡レ

    「疫病と世界史」はスゴ本
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2011/12/16
    読む
  • 読書は

    対照的なのに得るもの多し。いや、対照的だからこそ学ぶところが多いのか。 ブログから飛び出して、リアルな場所で読書会を開いたり交じったり。会議室で、屋で、飲み屋で、レンタルキッチンで、たくさんのスゴと、「スゴを読むあなた」と会う。その動機は、面白いから、ワクワクするから……漠然としてたのを、書は一言で喝破している―――「つながる読書」なんだ。 著者のいちいちが的を射る。書の提案はこうだ―――個人で完結するのではなく、発信とフィードバックを重ねることで、おもしろさを循環させよ。この、「みんなでおもしろがる読書」は、まさに「スゴオフ」でやっているので、身近なレベルで納得できる。p.174にこうある。 という一つの素材を使って、お互いの意見や「おもしろさを感じる部分」を交換して知的な刺激を受け、思いがけない着想を得たり、コミュニケーションをとったりして楽しむ新しい場(メディア)です 

    読書は
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2011/12/09
    なぜ読書をするのか
  • この本がスゴい!2011

    今年もお世話になりました、すべて「あなた」のおかげ。 このブログのタイトルは、「わたしが知らないスゴは、きっとあなたが読んでいる」。そして、このブログの目的は、「あなた」を探すこと。ともすると似たばかり淫するわたしに、「それがスゴいならコレは?」とオススメしたり、twitterやfacebookやtumblrで呟いたり、「これを読まずして語るな!」と叩いたり―――そんな「あなた」を探すのが、このブログの究極の目的だ。 昨年までの探索結果は、以下の通り。 このがスゴい!2010 このがスゴい!2009 このがスゴい!2008 このがスゴい!2007 このがスゴい!2006 このがスゴい!2005 このがスゴい!2004 昨年から始めたオフ会で、たくさんの気づきとオススメと出会いを、「あなた」からもらっている。目の前でチカラ強くプッシュしてもらったり、物語談義を丁々と続けたり

    この本がスゴい!2011
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2011/12/01
    チェック
  • 「V.」はスゴ本

    鼻をつかまれ引きずりまわされる。ジェットコースターに腹ばいに縛り付けられグルグル連れて行かれる(もちろん逝った先で放り出される)、この宙ぶらりんの射出感はキモ良い怖い。 全方位に伸びるエピソードとウンチク、隠喩、韻踏み、奇談と冗談、伝説と神話といかがわしい会話の妙。声と擬音と狂態に、もみくちゃにされ、ふらふらにされ、もうどうにでもしてーと全面降伏する読書。次々と繰り出される挿話を正しい時間軸で再構成するのに一苦労し、多重にめぐらされた人物のつながりを手繰るのに二苦労する。 これがポリフォニーなら分かる。ドストエフスキーのどんがらがっちゃんだ。おのおの言いたいことを一斉にしゃべり散らす「わわゎ~」は、うまくハーモナイズされると、勢いやら心地よさが生まれる。だが、「V.」はソロ演奏のとっかえひっかえがハウリング→ハーモニーに至る。つぎつぎと焦点が切り替わり、話者が代えられ、時を跳躍し、倫理感覚

    「V.」はスゴ本
    Yamakatsu
    Yamakatsu 2011/11/16
    きましたよV