戦後のアメリカを代表する劇作家のひとり、アーサー・ミラーによる『セールスマンの死』は、これまで世界中で何度も上演や、映画化がなされてきた名作戯曲。20世紀中盤のアメリカ、晩年を迎えたセールスマン・ウィリーを主人公に、その家族の抱えた問題が描かれるこの群像劇は、1949年の初演時には742回上演のロングランを記録。『トニー賞』『ニューヨーク劇評家賞』『ピューリッツァー賞』を受賞している。 今回、KAAT 神奈川芸術劇場で、この演劇史に残る不朽の名作に挑むのが、劇団「阿佐ヶ谷スパイダース」を主宰し、自らもNHK連続テレビ小説『あさが来た』や、映画『容疑者Xの献身』などで俳優としても活躍している演出家・長塚圭史。彼が見つめているのは、この物語に描かれた家族が抱えた深い「業」だった……。いったい、この名作からどんな家族像が浮かび上がってくるのか? そして、この作品を通して見えてくる「演劇の本質」と