高度約8900メートルから撮影したH2Bロケット。雲海を突き抜け、上昇していった=11日午前2時2分、本社機から、溝脇正撮影 11日未明、鹿児島県種子島であった新型ロケット「H2B」1号機の打ち上げを、本社機「あすか」から見た。 午前2時1分、高度は約8900メートル。打ち上げの瞬間、眼下に広がる白い雲海の一部が数キロにわたり黄色く染まった。それから数十秒後、巨大な光の塊が雲から飛び出し、急上昇してきた。機体そのものは見えないが、細長い火の玉が、我々をあっという間に追い越していった。 火の玉の行き先を追って約1分後、四つの赤い光が分かれた。役目を終えた大型固体補助ロケット(SRB―A)が分離した瞬間だ。 大気圏外に飛び出したH2Bの輝きはもう小さく、星々のなかに紛れてしまった。空には、飛行機雲のような一筋の航跡だけが残っていた。(大畑滋生)