2016年04月29日15:03 カテゴリ本 平和憲法という「空体語」 本書は、三島由紀夫の自殺から始まっている。その遺書となった「檄」は狂気によって書かれた文ではなく、理路整然としている。彼が特に問題にするのは、「平和憲法」の欺瞞だ(原文のまま)。法理論的には、自衞隊は違憲であることは明白であり、國の根本問題である防衞が、御都合主義の法的解釋によつてごまかされ、軍の名を用ひない軍として、日本人の魂の腐敗、道義の頽廢の根本原因をなして來てゐる。 われわれは戰後のあまりに永い日本の眠りに憤つた。自衞隊が目ざめる時こそ、日本が目ざめる時だと信じた。自衞隊が自ら目ざめることなしに、この眠れる日本が目ざめることはないのを信じた。憲法改正によつて、自衞隊が建軍の本義に立ち、眞の國軍となる日のために、國民として微力の限りを盡すこと以上に大いなる責務はない、と信じた。このように軍が「自衛隊」という空体語