暗闇の中の超深海はまだよく知られていない。そこに独自の微生物生態系があった。世界最深のマリアナ海溝チャレンジャー海淵内の超深海(水深6000m以深)水塊に、上層に広がる深海水塊とは明瞭に異なる微生物生態系が存在することを、海洋研究開発機構の布浦拓郎(ぬのうら たくろう)主任研究員らが初めて見いだした。独自の超深海・海溝生命圏が水塊中にも存在することを示すもので、超深海生物研究に刺激を与える発見といえる。東京工業大学、横浜市立大学、東京大学との共同研究で、2月23日付の米科学アカデミー紀要オンライン版に発表した。 水深約300mより深い海洋環境では太陽光が届かない。特に海溝内の水塊は未探査の領域として残されていた。研究グループでは2008年6月、北西太平洋の水深10300mのチャレンジャー海淵中央域で、表層から海溝底直上(水深10257m)までの海水を50~1000mおきに大深度小型無人探査