かつて日本においてその存在はごく一般的であった屋台。夜ごとリヤカーを引くその形態は庶民に親しまれ、チャルメラの音に懐かしさを感じる人も多い。しかし、この数十年で激減した東京の屋台は今や絶滅の危機に瀕し、数を正確に知る者もいないという。 屋台とはそもそも、いつどのようにして発祥したのだろうか。根本に横たわる疑問に光明を得るべく、2人の有識者を訪ねた。 「屋台の成り立ちには不明な点が多く、諸説があるのが現状です」 そう語るのは、都市計画コンサルタントの木村陽一氏だ。 「説の一つに、江戸時代からというものがあります。というのも、参勤交代で江戸にやって来た地方武士にとって大きな負担だったのが食事を作ることでした。その需要を察知した商人が、そば、握り寿司、天ぷらといった簡単に提供できる食物を路上で販売したのが屋台の原型ともいわれています。ただし、屋台風の絵はあるものの、屋台の存在を正式に認めるような
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