TRPGは「勝敗がないゲーム」と最初に云った日本人は誰だか僕にも分かりません。ただ、『D&Dがよくわかる本』にて黒田幸弘氏も明言しているので日本TRPG初期(新和版D&D発売時を基準)においてからそういう論説は存在していたようです。86年発売当時はRPGはおろかソリティアゲーム(1人遊びゲーム)自体がマイナーな存在であり、プレイヤー間のwin-loseの関係から離れた形式のゲームを出すのには先進性に問題があったのかもしれません。ましてや、D&Dを売り込むメインの購買層たるウォーゲーム愛好家たちは競技性の高い……win-loseの格付けに厳格なゲームを好む人たちです。彼らに対し、「勝敗がない」と明言することは曖昧な表現で遊び方を誤解されることを防ぐ効果が期待されるわけだし、悪くない手段ではあっただろうと思います。 だが、ミニチュア・ウォーゲームから派生した『D&D』は単にプレイヤー間の競技で