法と倫理の関係について考える前に、まず法とは何かについて知識を整理しよう。 そもそも法には「自然法」と「実定法」があるとされる。 自然法とは政府などが法を制定する前から自然に存在するとされる法であり、 自由権、平等権などの自然権を保護するものである。 自然権論者によれば、政府の主目的は自然権の保護であり、 自然権を保護しない政府への抵抗は正当化される。 一方の実定法は政府などによって定められた法である。 実定法は「成文法」と「不文法」に分けられる。 成文法はさらに「国際法」と「国内法」に分けられる。 不文法とは「慣習法」や「判例法」などであり、国際法は「条約」などである。 国内法は、「憲法」、狭義の「法律」、「政令」「府令」「省令」「規則」、 さらには地方自治体の定める「条例」などからなる。 国内法と国際法すなわち条約を合わせて「法令」と呼ぶが、 日常生活ではこれら全てを法律と呼んでいる。