庵野秀明監督の「シン・仮面ライダー」を、心を震わせながら観た。「『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』ほどのヒットは見込めないのでは」との指摘もあるが、そんなことは僕にとってはどうでもよい。庵野監督の「仮面ライダー」という作品への凄まじいまでの愛情とリスペクトとこだわり、他者への絶望と他者へのつながりを激しく求める思いとの間に引き裂かれた自らの内面をぶちまけつつも、それを一般の人々が楽しめるエンターティンメントへと昇華しようとする強靱な意志が画面からひしひしと伝わってきたからだ。 3月31日にNHK BSプレミアムで放送された「ドキュメント シン・仮面ライダー~ヒーローアクション 挑戦の舞台裏~」でも庵野監督はアクション場面の生々しさ、切実さを徹底的に求め、「殺陣(たて)ではなく殺し合いを演じて」「段取りなんかいらない」とアクション担当のスタッフの仕事を全否定するかのような厳しいダメ出しを
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