2024年の芥川賞を受賞した『東京都同情塔』(九段理江著/新潮社)は、「一部がChatGPTなどの生成AIで書かれた」という話題が一人歩きしている。作品を読む前に、「芥川賞作『ChatGPTなど駆使』『5%は生成AIの文章そのまま』 九段理江さん『東京都同情塔』」という見出しで記事を書いた筆者にもその責任の一端はあると反省している。 その後、作品を買って読み、「なんだこれは」と圧倒された。読む前にイメージしていたのは「一部の表現を実験的にAIに任せてみた小説」だったが、そんな生やさしいものではなかった。 舞台は2026年ごろ。ChatGPTのような「文章構築AI」を使うことが、スマホで検索するように当たり前になったごく近い未来だ。その時、社会は、人間は、どう変わり得るかが、ベタベタとした手触りで生々しく描かれている。 それはいかにも「ありそうな」未来なのだが、なんとも言えない気持ち悪さを覚
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