日銀が公表した4〜6月期の資金循環統計を見ると、円貨性資産における株式・出資金や外貨性資産の比率が上昇している。政府が旗を振る「貯蓄から投資」を踏まえた動きだ。 その動きはまだ大きくないが、名目賃金が物価高を相殺するほど上昇しないと見切った向きは資産運用によってカバーしようとするだろう。その場合、対象となるのは米国株を筆頭とした海外資産だ。 巨額の金融資産を持つ高齢者層が物価高に対する資産防衛で外貨性資産に雪崩を打てば、それは円売り要因となる。家計部門の円売りは、日本経済に潜む巨大なテールリスクである。 (唐鎌 大輔:みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト) 「貯蓄から投資」の胎動 日銀から9月20日に公表された4~6月期の資金循環統計は、示唆に富む内容だった。 「資産運用立国」の旗印の下、政府・与党は家計部門の「貯蓄から投資」を後押しすることに躍起だ。四半期に一度公表される資金循環統計
![日本経済に埋め込まれている巨大な円売り余地、炸裂すれば今以上のインフレに 「貯蓄から投資」の副作用、高齢者の外貨建て投資が10%増で110兆円の円売り | JBpress (ジェイビープレス)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/a98305bff81092f63caa53fe2aff863ff99098cd/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fjbpress.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F0%2F8%2F1200mw%2Fimg_08e7380e056efa7c756c461a8a411b85311289.jpg)