取材・文=野本由起 絶滅種をはじめとする動物が客として訪れ、人間が接客をする百貨店──。この一風変わった作品が劇場版アニメになると決まったのは、マンガの連載が終わった頃のこと。原作者がアニメにどこまで関わるかはケースバイケースだが、西村さんの場合は基本的にノータッチだったという。 「自分はアニメをたくさん観てきていないので、良し悪しがわかりません。そのため、『何でも自由にしてください』とお伝えしました。完成した映画は、冒頭で子ども時代の秋乃が登場し、ちょっとしたループ形式になっていて。アニメならではのオリジナル要素が加わっているのが、面白かったですね」 そもそもこのマンガが生まれたのは、どのような背景があったのだろうか。西村さんは、当時抱えていたある思いを明かす。 「自分はデビュー後も同人活動を続けていて、自分が描くマンガは同人誌で発表すれば事足りるんじゃないかという思いがありました。商業