ティーンズが育てた2億5900万部 ティーンエージャー向け文庫の草分け、コバルト文庫(集英社)が創刊30周年を迎える。刊行点数は3400タイトル、発行部数は累計2億5900万部超。人気作家を輩出し、多くの女性読者に影響を与えたとして、文学史の中で評価する動きも出ている。 1976年5月に創刊。当初は、同社の雑誌「小説ジュニア」で執筆していた富島健夫ら既存作家による“ジュニア小説”が多かったが、次第に、若い女性作家たちが等身大の女の子の世界を話しコトバで描く表現媒体に。 先べんをつけたのは、女子校の寄宿舎生活を活写した氷室冴子『クララ白書』(80年)、高校生デビューした新井素子のライトSF『星へ行く船』(81年)とされる。82年に雑誌「Cobalt」が創刊され、翌年から〈ジャンル不問〉で新人公募を開始。文庫オリジナル作品によるラインアップどころか、若者向け文庫そのものが珍しかった。 このコバ