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ブックマーク / econ101.jp (40)

  • ノア・スミス「ベーシックインカム研究でさらにがっかりな結果」(2024年7月23日)

    3週間前の記事で,デンバーで行われたベーシックインカム・プロジェクトから得られた少々がっかりな研究結果に注目しておいた〔日語版〕.さて,今度は,イリノイ北部とテキサス中部で実施されたはるかに巨大で長期的なベーシックインカムの無作為化対照実験の研究結果が出てきた.Vivalt et al. の論文から,主な研究結果の要旨を引用しておこう: 研究では,所得の変化が原因となって人々の雇用に関わる多種多様な項目に生じた影響を検討する.そのための実験として,低所得の個人から無作為に対象者を1,000名選出し,無条件に1ヶ月あたり 1,000ドルの現金給付を3年間続けた.また,対照群として,2,000名の参加者を選出し,1ヶ月に 50ドルの給付を続けた.研究では,詳細な調査データ・行政記録・専用スマホアプリからのデータを収集した.現金給付によって,対照群に比べて給付を除外した個人所得の総額は 1

    ノア・スミス「ベーシックインカム研究でさらにがっかりな結果」(2024年7月23日)
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  • ジョセフ・ヒース「アメリカの多文化主義は矛盾を抱え込んでいる」(2023年9月23日)

    Multinational culture isometric composition with people of different races and nationalities in folk costumes vector illustration しばらくアメリカに在住していたが、人種的正義を求める闘いで公理となっているものは、現実的な解決策となっておらず、逆に人種間の対立を世代をまたいで再生産してしまっていると思った。これをアメリカリベラルは理解できておらず、多くの逆効果(マイノリティ・グループの一部を共和党の掌中に追いやっている等)を生んでいる。このエントリは、そう確信するに至った分析を極めて簡潔にまとめるのを目的にしている。他の場所や、今後のエントリで、この立場を裏付ける様々な論拠を示す予定だが、今回はひとまず、この私の見解がどのようなものか知ってもらうために、分かりや

    ジョセフ・ヒース「アメリカの多文化主義は矛盾を抱え込んでいる」(2023年9月23日)
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  • サミュエル・ハモンド「我々は今や皆、ウィトゲンシュタイン主義者だ:大規模言語モデル(LLM)は哲学的問題を解決する」(2023年3月21日)

    人工知能の開発は、科学的・工学的な営為であると同時に、哲学的な営為でもある。人間の脳の特権的領域と考えられていた能力が、人工知能によって実現されれば、心の哲学での長きにわたる論争が、完全に解明されないにしても、大幅に解決される可能性があるからだ。 人工知能の開発は、科学的・工学的な営為であると同時に、哲学的な営為でもある。人間の脳の特権的領域と考えられていた能力が、人工知能によって実現されれば、心の哲学での長きにわたる論争が、完全に解明されないにしても、大幅に解決される可能性があるからだ。 そして、「脳」は、我々の世界への認知・接触手段となっているため、心の仕組みへの理解が進めば、哲学のあらゆる分野(認識論からメタ倫理学まで)に光を当てることになるだろう。そして、この件において、私の見解は、ノーム・チョムスキーとは正反対だ。チョムスキーは、大規模言語モデル(LLM)の成功からの、科学的・哲

    サミュエル・ハモンド「我々は今や皆、ウィトゲンシュタイン主義者だ:大規模言語モデル(LLM)は哲学的問題を解決する」(2023年3月21日)
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  • ノア・スミス「実は日本は様変わりしてるよ」(2023年1月23日)

    By 稲ノ歯鯨 – Own work, CC BY-SA 4.0 2020年代は1990年代とはちがう BBC の東京特派員ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズが書いた,日についてのエッセイが広く話題になってる〔日語版〕.ぼくも読んでみたけれど,ひどくいらいらしてしまった.このベテランジャーナリストは――2012年から日に暮らして働いたすえに――日の印象をまとめている.彼によれば,日は停滞して硬直した国で,「ここに来て10年経って,日のありようにもなじみ,次の点を受け入れるにいたった.日は,変化しそうにない.」 でも,日に暮らしたことがあって,2011年以降も年に1ヶ月間ほどここに来て過ごすのを繰り返してる人物として,そして,日経済についてかなりの分量を書いてきた人物として言わせてもらえば,日はまちがいなく様変わりしてる.すごく目につきやすくて重要なところがあれこれ

    ノア・スミス「実は日本は様変わりしてるよ」(2023年1月23日)
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  • ノア・スミス「弱い円は日本にとって好機,なんだけど」(2022年11月24日)

    [Noah Smith, “The weak yen is an opportunity,” Noahpinion, November 24, 2022] じゃあ,なんで日はその好機を利用してないのさ? ぼくが日にはじめて暮らしたのは,2000年代中盤のことだった.当時,円の値打ちはすごく覚えやすかった――だいたい,1ドル=100円だったからだ.どんなものでも,日で値札を見かけたら,頭の中で100で割ってやればだいたいどれくらいの値段なのかつかめた. 「1ドルだいたい100円」為替レートの時代は,約30年続いた.そして,2022年3月に,なにかがブツンといった.円が下がりはじめて,10月には少しのあいだとはいえ1ドル150円にまで下がって,それから1ドル140円にまで少しもどした: Source: Xe.com ドルにかぎらず,日の実質為替レートはあちこちの貿易相手国に対しても下が

    ノア・スミス「弱い円は日本にとって好機,なんだけど」(2022年11月24日)
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    advblog 2022/11/28
  • アダム・トゥーズ「近年のドイツの経済的成功は、ロシア産の“安いガス”に依存していたのだろうか?」(2022年9月13日)

    Chartbook #150: Why “cheap Russian gas” was a strategic snare but not the secret to German export success. Posted by Adam Tooze, Sep 13 2022 今、ドイツの大戦略は避難の矢面に立たされている。プーチンに融和的だった、軍備を怠っている、と批判されているのだ。おまけにドイツ連邦共和国は、史上かつてない規模でのエネルギー危機に直面している。ロシアからのガス供給は、完全に停止されてはいないが、大幅に削減されており、ドイツのエネルギー消費は(家庭・産業共に)、パイプラインで供給される東からのガスに依存しているのを露呈した。ドイツの戦略を批判してる人は以下のように指摘している。曰く、プーチンに依存するリスクは、少なくとも2014年のクリミア併合以降は明らかになってい

    アダム・トゥーズ「近年のドイツの経済的成功は、ロシア産の“安いガス”に依存していたのだろうか?」(2022年9月13日)
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  • ノア・スミス「日本の生活水準,低すぎ」(2022年5月24日)

    [Noah Smith, “Japan’s living standards are too low,” Noahpinion, May 24, 2022] 働きづめでも報われない国 日からこんにちはこんにちは! 2週間の旅行でこっちにきてて,せっかくだから日について何か記事を書こうと思う.まずは,経済の話からはじめよう. たいていの人たちが日について最初に気づくのは,各地の都市がいかにすばらしいかってことだ.とりわけ東京は,現代の驚異だ.キレイに刈り込まれた木々に取り囲まれて,設計のしっかりしたぴかぴかのビル群がそびえたっている.レストランやお店や各種の娯楽は目眩がするほど数知れず,どれもこれもすばらしい.どこも混み合ってるけれど,それでいていつもなぜか静謐を感じさせる.そして,ほんの数分歩けば電車の駅にたどり着いて,そこからどこでも必要な場所に向かえる.他のどんな国もおよばない

    ノア・スミス「日本の生活水準,低すぎ」(2022年5月24日)
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    っウソ…
  • タイラー・コーエン「AI による投資信託は市場に勝てる?」(2021年12月5日)

    [Tyler Cowen, “Do AI-powered mutual funds outperform the market?” Marginal Revolution, December 5, 2021] 研究では,人口知能 (AI) 駆動による投資信託のパフォーマンスを評価する.我々の研究からは,そうした投資信託が市場そのものに優ることはないことが見出された.しかしながら,比較してみると,AI 駆動による投資信託は,人間が管理している投資信託よりも有意にすぐれた実績を上げていることが示される.さらに研究では,AI投資信託がパフォーマンスで〔人間よりも〕すぐれている要因は,次の点に求められることを示す.すなわち,取引コストがより低いこと,銘柄選び能力で上回っていること,行動バイアスがより抑えられていること. 「AI 駆動による」がまともに定義されているのかわからないけれど,研究結果

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  • マーク・コヤマ「伝染病と国家:『健康』と『自由』のトレードオフは回避できるのだろうか?」(2020年8月28日)

    西洋民主主義国家は、COVID-19への対応で躓いているようだ。「健康」と「自由」の間には関係性が存在するが、これを解きほぐすことは可能なのだろうか? Epidemic disease and the state Words by Mark Koyama, Works in progress, 28th August 2020 西洋民主主義国家は、COVID-19への対応で躓いているようだ。「健康」と「自由」の間には関係性が存在するが、これを解きほぐすことは可能なのだろうか? アメリカ合衆国は2つのショックで動揺している。新規の伝染病が野放しで拡散していること。ジョージ・フロイドの殺害を受けて始まった抗議活動が制御不能になっていることだ。似たような抗議活動は、人種差別的な警察活動や警官の暴力といった問題ではアメリカと全く異なっているイギリスのような他の西洋国家にも波及している。国家と社会の

    マーク・コヤマ「伝染病と国家:『健康』と『自由』のトレードオフは回避できるのだろうか?」(2020年8月28日)
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    advblog 2020/09/27
  • タイラー・コーエン「医薬品産業での投資回収率のとある推計によれば…」

    [Tyler Cowen, “One estimate of the rate of return on pharma,” Marginal Revolution, May 4, 2018] (…)医薬品産業での R&D 投資へのリターンはすでに資コストを下回っており,今後たった 2~3年でゼロに達すると予想される.しかも,R&D を改善してこの傾向を逆転させようと業界が あらゆる努力をしているにも関わらずにこうなっているのだ. 上記はケルヴィン・スコットから.グローバル需要が成長しつづけているなかでこうなっていることに留意しよう.供給側に不具合が起きていることがうかがえる.

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    advblog 2018/05/06
  • アセモグル & レストレポ「ロボットと雇用:アメリカからの証拠」

    [Daron Acemoglu & Pascual Restrepo, “Robots and jobs: Evidence from the US,” VoxEU, April 10, 2017] ロボットをはじめとするコンピュータに支援された技術によって、これまで人間の労働によって行われてきたタスクがかわりに担われるようになるにつれて、雇用と賃金の未来についてますます懸念が高まっている。このコラムでは、1990年から2007年にかけて産業ロボットによって雇用と賃金が減少した証拠を論じる。推計からは、労働者1000人あたり1台ロボットを増やすと、人口あたりの雇用率が 0.18〜0.34パーセントポイント減少し、賃金は 0.25〜0.5パーセント減少するらしいことがうかがえる。この効果は、輸入やルーチン作業の減少やオフショアリング、ロボット以外のさまざまな IT、あるいは総資ストッ

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    advblog 2018/02/14
  • 経済学の革新を君に、そして新しい枠組みへ

    Samuel Bowles, Wendy Carlin 07 September 2017, VoxEu.org A new paradigm for the introductory course in economics サミュエル・ボウルス、ウェンディ・カーリン 2017年9月7日 VoxEU 現在用いられている経済学初級課程の枠組みは、1948年にサミュエルソンによって書かれた教科書を基としている。しかしこの初級課程は経済学それ自体の劇的な発達を反映した内容とはなっていない。例を挙げるなら、不完全情報の理論と戦略的相互行動理論、これら二つは経済学において欠かすことのできない革命的発展となるが、初級課程で積極的に教えられることはない。更に経済学は、気候変動、発明と革新、経済の不安定性、格差の拡大など、その時々に直面する社会問題に絶え間なく取り組んできた。これら公共政策と経済学の関わり

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    advblog 2018/01/03
  • スコット・サムナー「5年後のアベノミクス」

    [Scott Sumner, “Abenomics after 5 years,” TheMoneyIllusion, December 29, 2017] 安倍はインフレ率を高めると約束して2012年12月の選挙に大勝した。その後、2014年と2017年でも大差をつけて選挙に勝利した。次々に首相が登場しては退場していく日で、こういう政治的勝利は異例だ。それに、貯蓄に頼る高齢者だらけの国で、インフレをこれほど大きく問題にした点でも異例だ。(アームチェア公共選択理論はこれくらいにしておこう。) さて、あれから5年経って、高い人気を博している以外に、安倍はどんな様子だろうか? アベノミクス最重要の影響は名目GDPだった。2012年選挙までは下降傾向をつづけていた: 実態は、この Fred のグラフが示しているのよりも上回っている。名目 GDP は 544.9兆円に上方修正されたうえに、第3四

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    advblog 2018/01/02
  • デビッド・ベックワース 「アベノミクスのこれまでの成果やいかに? ~ハウスマン&ウィーランド論文を読む~」(2014年3月21日)

    デビッド・ベックワース 「アベノミクスのこれまでの成果やいかに? ~ハウスマン&ウィーランド論文を読む~」(2014年3月21日) ●David Beckworth, “Abenomics at the Brookings Institution”(Macro Musings Blog, March 21, 2014) 日(2014年3月21日)行われた、ブルッキングス研究所主催のBrookings Panel on Economic Activityでは、幅広い話題にわたって興味深い報告がなされたが、今回はその中から「アベノミクス」をテーマとした論文について取り上げることにしよう。その報告を行ったのは、ジョシュア・ハウスマン(Joshua K. Hausman)&ヨハネス・ウィーランド(Johannes F. Wieland)の2人。彼らの論文では、アベノミクスの中でも、日銀行による

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    advblog 2017/11/30
  • サイモン・レン=ルイス「理想的市場の概念をネオリベラルはどうやって兵器化したか」

    [Simon Wren-Lewis, “How Neoliberals weaponise the concept of an ideal market,” Mainly Macro, October 14, 2017] 「ネオリベラリズムなんてとにかく打倒しなきゃダメだ」と単純に信じている左翼は,コリン・クラウチによる新著に当惑しそうだ.著者はまず,グレンフェル・タワー火災の話から説き起こす.多くの人たちと同じく,クラウチも,ネオリベラリズムがいくつも繰り返してきた失敗の典型があの悲劇だと見ている.だけど,その一方で彼によれば書は「ネオリベラリズムを一方的に悪玉に仕立てておしまいにしようとするものではなく,もっと肯定否定が入り交じった解明を試みる一冊だ.そういうやり方でなくては,ネオリベラリズムがもつ改革の能力を評価できない.」 もちろん,知的な好奇心を理由にこうした試みを正当化するこ

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    advblog 2017/10/16
  • アレックス・タバロック「ヒューストンの洪水,用途地域制度,開発」 — 経済学101

    [Alex Tabarrok, “Houston Flooding and Zoning and Development,” Marginal Revolution, September 1, 2017] ヒューストンの洪水を引き起こした原因について,あれこれと戯言が書かれている.反移民派の人たちは,移民がわるいと非難している.反開発派の人たちは開発がわるいと非難している.反トランプ派の人たちは共和党がわるいと非難している. でも,事実を言えば,都市が建設されていらい,ヒューストンはずっと洪水にあってきた.さらに言うと,〔2005年に大災害を起こしたハリケーンの〕カトリーナとちがって洪水対策システムは大半が想定どおりに機能した――たとえばあふれかえる水をハイウェイに逃がしたのもその一例だ.問題は,とにかく水が多すぎたという点にある. Phil Magness が秀逸な記事を書いて詳細を記し

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  • スコット・サムナー「政治的正しさはおろか者の考えだ」

    [Scott Sumner, “Political correctness is a stupid idea,” Money Illusion, August 27, 2017] 数週間まえにも書いた論点だけど,この主張をうらづける実証的な証拠がでてきた.ラジブ・カーンが下記のグラフを示している.これを見ると,知能テストで高いスコアをとっている人たちの方が,不人気な言葉遣いをはるかに許容しやすいのがわかる. 【▲ ムスリムの説教師がコミュニティでアメリカ憎悪を説教するのを許容する割合を語彙テストのスコア別にみたグラフ】 PC主義はエリート大学キャンパスに集中していると広く考えられているけれど,それはこれと相反している.おそらく,リベラルアーツの大学教授は,語彙テストで相当い高いスコアをとるはずだ. これはムスリムに関する質問だけに当てはまるのかどうか疑問に思う向きもあるかもしれない.ムスリ

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    advblog 2017/08/29
  • ジェイムズ・ベッセン「コンピュータによる自動化は人間の仕事にどう影響するか:テクノロジー・雇用・技能」

    [James Bessen, “How computer automation affects occupations: Technology, jobs, and skills,” VoxEU, September 22, 2016; 翻訳のPDF版] 「コンピュータによる自動化が進むと大量に雇用が失われる」という考えが広まっている.だが,ここで見過ごされているのが,需要の変化や職業間の代替の両方がからんだ経済の動的な反応だ.このコラムでは,アメリカのデータを利用して,細分化した職業カテゴリーで自動化が雇用に及ぼす影響を考察する.今日まで,コンピュータを使うさまざまな職業の雇用は他より大きく伸びている一方で,あまりコンピュータを使わない職業では,コンピュータが絡む雇用喪失が他より多く生じている.自動化がつきつける当の課題は,新しいテクノロジーを使う技能をもつ労働人口を発展させることだ.

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    advblog 2017/08/02
  • スコット・サムナー「言語と失業」

    [Scott Sumner, “Language and unemployment,” Money Illusion, May 2, 2017] 地図はぼくの好物だ.先日,ランディ・オルセンがヨーロッパの失業を示すおもしろい地図にリンクを貼っていた: この地図を見る前から,フランスよりドイツの方が失業率が低いのは知っていた.そしてやっぱり,失業率は両国の境界で劇的な変化を見せている――ライン川流域がそれだ. きっと,ドイツの失業率の方が低いのは,労働市場規制がすぐれていることの反映なんだろうと想定していた.ところが,このグラフはそれと別の相違点を示唆している――言語のちがいもあるようだ.ゲルマン系言語圏はロマンス系言語圏よりも失業率が低いと仮定してみよう.言語と政府政策のどちらがより重要なのか検証するにはどんな手があるだろう? ひとつには,複数言語が話されている国がある点に着目するアプロー

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    advblog 2017/05/19
  • ノア・スミス「経済学概論のモデルでは労働市場はわからない理由」

    [Noah Smith, “Why the 101 model doesn’t work for labor markets,” Noahpinion, April 14, 2017] 「経済学101(概論)」の初歩的なモデルといえば,取引される財になんのちがいもない単一市場の供給-需要モデルだ.このモデルでは労働市場はわからない.でも,そこのところがどうにもわかりかねる人たちは多い.労働政策をめぐる論争にかかわる人たちのなかには,この理論がほぼ公理のようになっている向きもある――つまり,労働市場は「労働供給曲線」と「労働需要曲線」で記述できるに決まっていると考える人たちもいる.そういう人たちに向かって,「そりゃムリですよ」と言ったりすると,先方の脳みそは故障をおこしたみたいになる.「労働需要曲線がないなんてことがありうるかね? モノの価格と,みんながそいつをどれくらい買いたがってるかって

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    advblog 2017/04/30