『光る君へ』がはじまったとき、秋山と金田の貴族っぷりが話題にされていたが、ここのところ、乙丸の株が上がっている。彼の場合、『大家さんと僕』という大ベストセラーを持つ漫画家というイメージが強いが、直近の第17回では、カラテカ矢部のお笑い芸人としての歴史を感じた。 「殿様も仰(おお)せにならないことを私がお伝えするのはいけないことかもしれませぬが……」と逡巡(しゅんじゅん)しながらも、ダッとまひろの前に走り込みひざまづいたときのメリハリや、その前にまひろに声をかけられ「とんでもないことでございます」と主人と目を合わせられない謙虚さと、でもまひろの病が全快した喜びを全身で伝える動作などが最たるもの。疫病で死んだ人を見つめる表情には情感が溢れていた。
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