今回は先日ハリウッド殿堂入りが決まった故三船敏郎氏の代表作の一本である1959年製作の黒澤明監督作品「七人の侍」を取り上げる。 本作は、言うまでもなく日本映画史上屈指の名作であり、その素晴らしさについては語り尽くされた感があるが、今回は侍が百姓から得た唯一の報酬である“飯”に焦点を絞って述べていく。 ごちそうを食わせてやる「七人の侍」は、従来の歌舞伎の影響を受けた“白塗り時代劇”から脱したリアルな時代劇を目指して企画された。黒澤は、ベネチア国際映画祭で金獅子賞(グランプリ)を受賞した「羅生門」(1950)ですでに同様の試みをしていたが、それは武士が登場する以前の平安時代の話である。 前作「生きる」(1952)に続いてトリオを組んだ橋本忍、小国英雄とのシナリオ構想中に、武者修行中の浪人がいかに食い扶持を得ていたのかという疑問から、百姓に雇われた侍という発想が生まれたという。 また黒澤には、従