◆「フューチャー・デザイン 七世代先を見据えた社会」(西條辰義編著) 副題の「七世代先を見据えた社会」は、編著者によると、米国の先住イロコイ族から想を得たものらしい。イロコイ族は重要な意思決定の際、七世代後の人々になりきって考えるという。個人や文化で違いがありそうだが、多くの場合、自分に続く縦の血統として濃厚にイメージできるのは、自分の孫の孫(四世代先)までではないか。「七世代先を見据える」とは、血縁から離れた未来の人々を考慮して意思決定することを意味する。 我々が目先の利益にとらわれ、過度に楽観的になることはありふれたことである。眼前の課題に集中し、遠い未来を思いわずらうことに思考力を浪費しないことは、人間の生存に有利に働いたことであろう。しかしながら、人間活動の大規模化につれ、長期の利害を熟慮する必要が高まってきた。温暖化ガスが大規模かつ長期に蓄積されることで、未来の人々に災厄が降りか