きのう、沖縄地方が梅雨明けした。観測史上もっとも早い記録だという。本州や四国、九州地方では、まだまだぎらつく太陽と青空は望めそうにない。じめじめした気候に沈みがちな気分を慰めてくれるのが、色とりどりのアジサイだ。きのうの「朝の詩」に載った作品でも、モチーフになっていた。 ▼「あじさいには 雨の記憶がありました」。もっとも43歳の作者にとって、水色の花が呼び戻すのは、けっして楽しい記憶ではないようだ。少女時代の「あの日」に降っていた雨は、「涙のしずく」かもしれないという。 ▼記憶といえば、詩人の金井直に「あじさい」と題した哀切きわまりない作品がある。「また季節はめぐりきて うすむらさきのほほえみはよみがえる あなたは思い出 いつみても懐しい いつまでもあなたのそばにいると あなたの色が沁みこんでくるようだ…」。昭和20年6月の空襲で非業の最期を遂げた、年上の恋人を悼んだものだ。 ▼アジサイの