1.乾しいたけ食の歴史-9~13世紀 千年を超える長い歴史 わが国で乾しいたけが何時頃から食べ始められたかは、はっきりしないが、9世紀頃、中国の食文化が入ってきたに違いない。恐らく、わが国で食べるというよりは中国への輸出が主目的だったのだろう。 生(なま)を乾して食べる発想は古代中国人の優れた知恵で、保存に都合が良いばかりか、乾せばうま味が増すこともよく知っており、乾物の多くは中国で生まれている。 乾しいたけ渡来は、伝説では弘法大師(774~835)が唐(中国)から帰国後、乾しいたけの食習慣を伝えたと言われる。真偽は確かめる術(すべ)もないが、当時、わが国はあらゆる文明文化を先進国の中国から学ぶのに懸命で、茶は9世紀初頭、僧の永忠が唐から茶を持ち帰り、嵯峨天皇に献じた記録があり、乾しいたけも弘法伝説はともかくとして同時期か、その前後とみて可笑しくはない。 わが国の乾しいたけの殆んどが中国へ